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査読に時間がかかる理由:協力的な査読者を探すこと
本シリーズ最初の記事では、Polar Researchが査読候補者をどのように選定しているかを説明しました。この次の段階で、2、3名から査読を行うことへの合意を取り付けますが、これが最難関です。
適任と思われる査読候補者が選ばれると、Eメールで査読への協力を依頼します。たいていの場合、最初は2名に依頼し、必要以上に多くの協力要請をしないようにします。せっかく協力すると返信したのに「やっぱり協力が必要ない」と言われたら、忙しい研究者たちの気分を害してしまいますから。
協力要請を出したら、返信を待ちます。依頼した査読者が同意してくれたら、めでたしめでたしです。断られたら、別の人に依頼します。依頼した査読者から一週間経っても返信がない場合は、オンラインの査読システムによって自動的にリマインダーが出されます。更にしばらく適当な時間を置いても返信がない場合は、新たな人物に協力を依頼します。この過程は、私の仕事であまり楽しくない部分です。何回も断られたり、返信が全くなかったりすることもあります。何度も査読候補者を特定して協力要請し、返信を待つ、という過程を経なければならないのです。
1998年にPolar Researchの編集長に着任してからの私の印象では、査読の協力要請に対する拒絶や無視は劇的に増えています。これを裏付けるデータはありませんが、編集部の同僚、ヤンネ・シュルーダー(Janne Schreuder)が、現状を示す数字を出してくれました。彼女によると、Polar Researchの編集者が2名の査読者から協力要請に同意する返事をもらうのに、平均で7名の査読者に依頼しなければならないということが分かっています。
つまり、協力要請を受けた査読者の3分の2からは、断られるか、返事をもらえないということです。これが平均値です。2名に依頼を出してその両方から協力を得られることもありますが、7名よりずっと多くの人に依頼しなければならない原稿もあります。2名の協力を得るのに10通協力依頼を出すことも稀ではありません。私自身、2名の査読者を確保するために、20通以上の協力依頼を出したこともあります。このために何時間費やしたのか、怖くて計算できないほどです。
一度に必要以上の査読者に依頼することは良くないので、私たちは少しずつ依頼を出します。そして依頼を受けた方々はそれぞれ、我々のEメールを読み、ある程度時間をかけて諾否を検討します。こういったプロセスがあることが、査読プロセスに時間がかかることの理由の1つになっていると思います。
本シリーズの次の記事では、査読者を決める際にジャーナル編集者が直面する困難についてお話します。
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