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質問: EditorからはERRATUMが1つの解決法と言われましたが。
論文を見直したときに、ミスもしくは矛盾に気づき、解析法を変える必要が生じたということでしょうか。自分の研究の公正性に配慮しようとするのは、素晴らしい姿勢です。
しかしながら、今回の場合はすでに論文が出版済みとのことなので、少々気になる点が出てきます。異なる解析法が必要となった理由はさておき、まずは、今回採用した解析方法が、間違いなく適切な方法であることを確認しましょう。というのは、もしそうでなかった場合、さらなる変更は、状況をより複雑にするからです。
ご質問からすると、今回あなたが参照されたのは、こちらの記事でしょうか:
正誤表・懸念表明・撤回について知っておくべきこと
もしそうなら、出版済み論文の変更やミスへの対処方法は、それぞれの違いも含めて、すでにご承知のことと思います。記事中にあるように、「編集者への手紙(レター)」という方法もあります。
今回のケースを踏まえながら、それぞれの方法の微妙な違いを説明します。
- 正誤表(erratumもしくはcorrigendum): 著者自身が気づいた、結論に影響を与えないような小さな修正やミスに対して用いられることが多いものです。今回の場合(方法の変更)は、変更として些細なものとは言えず、結果および結論にも影響を与えています。したがって、ご自身でもご推察の通り、正誤表を用いるのは適切ではないでしょう。
- 懸念の表明: まだ変更が途中の場合に用います。つまり、正誤表(重大な変更ではないもの)と撤回(重大な問題)の中間の方法ということになります。したがって、今回変更した解析がまだ途中なら、この方法が使えないこともないでしょう。
- 撤回: 論文の科学的な価値や妥当性に対する、ほかの研究者からの意見やコメントもしくは一般の人々からの情報に基づいて、ジャーナルや出版社側から論文を取り下げることです。著者側の単なる見落としから生じる問題である場合もありますが、科学的な能力および公正性が不十分とみなされ、学術的信頼性にも影響を及ぼすことになります。つまり、撤回は論文と著者にとって、深刻な状況をもたらします。今回の場合について言えば(もちろん、ご質問による限られた情報からすればということですが)、撤回という措置は当たらないでしょう。
いずれの方法も望ましいものではありませんが、あなたの判断と行動には、真剣さと公正さが表れた立派なものだと思います。こちらの質問も参考にしてみてください:
Is it possible to remove an entire experiment from my published article through erratum?
取るべき対応は、(すでにされているようですが)編集者とよく相談することでしょう。ご質問から察する限り、編集者の方は、妥当な結論を導き出そうとしているようです。たいていの場合、編集者は「適切かつ公正な判断」を目指しているものです。
もしよろしければ、結論が出たら、簡単に教えて頂ければと思います。フェアな方法でスピーディーに解決できることを願っています!