研究プロジェクトを実行する際の5つの秘訣
助成金申請書が受理されたら、いよいよ研究プロジェクトを実行に移すときです。しかし、初めてプロジェクトを管理する場合、困難に向き合う準備ができていないこともあるかもしれません。プロジェクトを始動させる際は、さまざまな要素を考慮する必要があります。この記事では、研究プロジェクトを成功に導くロードマップを作成するための、5つのヒントを紹介します。
共有ワークスペースを作る
皆で作業をする研究室を持っている場合も、分野をまたぐバーチャルプロジェクトを率いる場合も、チームに団結力を注入するには、「セントラルロケーション」の存在が不可欠です。セントラルロケーションとは、チームで情報を共有するためのプラットフォームです。それは研究室の壁に掛かっている掲示板かもしれませんし、プロジェクトに関わるメンバーのみがアクセスできる共有ネットワークドライブかもしれません。このロケーションは、チームに最新情報を提供し、プロジェクト関連の情報を管理するための基盤となります。また、プロジェクト目標を達成するための協力体制についての合意内容を明文化した、「チームチャーター」としての役割も果たさなければなりません。チームチャーターとは、チームのミッション・ビジョン・目的の枠組みを定めたものです。これに基づいて、コミュニケーション、グループプランニング、個人やチーム間でのミーティングの必要性、報告体制、締め切りの扱い方などに関する基本原則を設定します。
プロジェクト管理計画を作成する
助成金申請の際に、プロジェクト計画の提出を要求されたと思います。しかし、プロジェクトの開始時点で、計画の根拠となった想定はもはや有効でなくなっている可能性があります。たとえば、利用可能なリソースに変更があったり、主要スタッフが別のプロジェクトの担当になったり、研究テーマに関する知見に変化があったりするかもしれません。こういった変化によっては、元の計画を変更せざるを得ないこともあるでしょう。その場合、申請時に提出したプロジェクト計画を見直し、その結果次第では、計画に組み込まれているリソースや想定も見直さなければなりません。プロジェクト計画は、「何を」するかを設定するものです。その次のステップは、チームと共に「どのように」プロジェクトを進めるかの計画を立てることです。計画には、実行すべきタスクと、そのために必要な時間と労力に関する情報も含めましょう。
予算管理の準備をする
助成金がいつ支給され、それをいつ使うのかを把握しておけば、プロジェクト関連の活動スケジュールを組むのに役立ちます。購入すべき材料のリストと共に、各材料の入手スケジュールや価格も書いておきましょう。同様に、資金提供者のリストを作り、契約に基づく資金提供のスケジュールや金額を書き入れておきましょう。支給がマイルストーン払い(作業工程ごとの分割払い)の場合は、支給スケジュールに不測の事態が発生し得ることを想定しておきましょう。資金の支給の問題でプロジェクトの進行に遅延が生じるリスクを最小化するためには、支払いスケジュールと併せて、分割支給のスケジュールを確認しておく必要があるでしょう。
リスクを予測する
プロジェクト管理計画を立てる際は、目標を達成する過程で発生するかもしれない困難について、チームメンバーと話し合いましょう。そして、それらのリスクを回避または軽減するための計画を立てましょう。リスクプランニングは、各タスクの成功を念頭に置いて行いましょう。たとえば、あるタスクが予定よりも早く完了した場合、その後のタスクを前倒しで始められるようになっていますか?また、外部の視点を得るために、利害関係者にもリストを確認してもらいましょう。
コミュニケーションプランを作成する
利害関係者にプロジェクトの最新情報を伝える頻度を決めます。コミュニケーションプランでは、意思決定者や、プロジェクトの活動や結果に影響を受ける利害関係者に焦点を当てましょう。そして、進捗報告の頻度、アップデートのリリース間隔、コミュニケーションのフォーマットを決めましょう。提供する情報は、成功の障壁となるものや成功を促進するもの、失敗の概要、特筆すべき成果などを、バランスよくまとめましょう。
まとめ
研究プロジェクトの管理者は、プロジェクトを成功に導くための道を敷かなければなりません。よく整理されたプロジェクトでは、課題を効率良く解決でき、素早い意思決定ができます。まずは、活動を計画することとリソースを管理することから着手し、利害関係者と有意義なコミュニケーションを取るためのプランを練って、プロジェクトを進めましょう。
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