年々早まる地球資源の「赤字転換日(アース・オーバーシュート・デー)」
私たち人間は、地球環境に負担をかけずに消費できる1年分の水や土壌、空気資源を、2017年は8月2日の時点で使い果たしてしまいました。したがって、この日以降の資源消費は、環境に優しくない行為ということになります。グローバル・フットプリント・ネットワークは、地球資源が「赤字」に転じる日を毎年発表しています。アース・オーバーシュート・デーと呼ばれるこの日は、残念ながら祝日などではありません。
この取り組みは、地球の資源が限られていることを啓蒙するキャンペーンとして、イギリスのシンクタンク、ニュー・エコノミクス財団のアンドリュー・シムズ(Andrew Simms)氏によって提唱されました。具体的な日にちは、同財団の姉妹組織であるグローバル・フットプリント・ネットワークが、1年間に生産される自然資源の量を人間の資源消費量で割った値に365を乗じることで算出しています。つまり、アース・オーバーシュート・デーは、人間の資源の需要量と自然資源の供給量を定量化して計算することで、1年のどの時点で地球に負担をかけ始めるかの指標となるのです。
(地球の自然資源供給量÷世界のエコロジカル・フットプリント)×365=アース・オーバーシュート・デー
この単純明快な計算方法は、水資源や土地資源に関する不十分なデータや、森林や水産物の再生産を考慮していないことを理由に、長年批判の対象になっています。
このような批判はさておき、過剰漁獲や過剰伐採、森林破壊、CO2の排出により、自然資源はかつてないほどのスピードで枯渇に向かっていることを、いくつかの研究結果が指摘しています。1980年代のアース・オーバーシュート・デーが11月であったのに対し、1993年は10月に早まっています。2000年には9月、2016年にはとうとう8月にこの日が訪れるようになりました。これは、私たちが現在消費している資源を賄うためには、地球が1.7個必要という計算になります。
グローバル・フットプリント・ネットワークは、フルーツや野菜の消費を増やす代わりに肉の消費を抑え、食品廃棄量を全体的に減らす努力をすることを推奨しています。持続可能な地球を推進する同団体のCEO、マティス・ワッカーナーゲル(Mathis Wackernagel)氏は次のように述べています。「地球は有限ですが、人間の可能性は無限です。地球のサイズに合った暮らしをしていくことは、技術的に可能であり、経済的にも都合が良いことです。また、それが、私たちが明るい未来を得るための唯一の手段なのです」。
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