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優れたRebuttal Letter(反論の手紙)をどう書くか?
たいていの論文は、採択されるまでに少なくとも一度は修正しなければなりません。大幅修正もしくは若干の修正をすれば採択という決定を受けたら、査読者からのコメントに基づいて論文を修正する必要があります。査読コメント一つ一つに対する回答とともに、修正論文を再投稿します。また、回答と一緒に修正論文のカバーレターもエディターに送ります。このカバーレターは通常、Response letter あるいはRebuttal letter(反論の手紙)と呼ばれます。
Response letter あるいはRebuttal letterは、次のいずれかの形で作成します。優れたレターを修正論文に添えることが大切です。
1. カバーレターを書き、査読コメントへの対応を書いた別の文書を添える。
2. Rebuttal letterを2つに分ける。導入部はジャーナルエディター向けに書き、続く部分では査読コメントへの詳しい回答を書く。
まずは、論文のタイトルとIDを書きましょう。また、貴重な時間を割いて有益なコメントをくれたことに対して簡潔に感謝を述べます。アドバイスへの感謝と、それによって論文が改善されることへの感謝を述べましょう。冒頭で、ポジティブな基調を打ち出しましょう。
別の文書に回答を書く場合は、行なった大幅な修正についておおまかにまとめた文章を付けた上で、査読コメントへの回答を書いた文書を添付したことを述べましょう。同じ文書で詳しい回答を述べる場合は、「以下に回答を述べます」と書くとよいでしょう。
回答は、コメントの数が多くて長いほど、難しい作業になります。査読コメントへの対応する際に覚えておきたいことを紹介します:
1. 指摘されたすべての点に対して、漏れなく対応する
Rebuttal letterに一つ一つのコメントを書き写し、各コメントのすぐ後に返答を簡潔明瞭に書きます。指摘されたすべてのコメントに対して確実に回答します。コメントについて賛成できない場合や、指摘された変更を行なわなかった場合は、そう決めた理由を述べましょう。
2. 一つずつ返答する
指摘された点に順に答えましょう。対応する変更箇所を目立つように表示し、修正前と修正後の論文の行番号を記します。査読コメントを回答と区別するために、太字にしてもよいでしょう。編集者/査読者が見やすいように配慮しましょう。
3. コメントを分類する
コメント数が多すぎる場合は、いくつかのカテゴリーに分類しましょう。たとえば、方法に関するものと英文に関するものといった具合です。カテゴリー分けをしたら、「回答を整理してお伝えするために、いくつかのカテゴリーに分けました(“I have separated my responses to the reviewers’ comments according to several categories in order to achieve an integrated approach in my responses.”)」という趣旨の一文を付けてください。
4. 論点ごとに回答する
コメントが複数のパラグラフで書いてあった場合は、論点ごとに返答するようにします。コメントの解釈に確信が持てない場合は、回答の冒頭で、コメントをどのように理解したかを説明しましょう。
5. 誤解があると感じた場合は、明確かつ丁寧に説明する
査読者は、専門分野について広範な知識を持っている専門家です。したがって誤解されている箇所があると感じた場合、あなたの表現が不明瞭であった可能性があります。そのような場合は、誤解であることを丁寧に指摘し、必要な説明を添えましょう。たとえば、次のように述べましょう。
例) “I am sorry that this part was not clear in the original manuscript. I should have explained that….I have revised the contents of this part.”
6. 対処できない内容があれば、理由を述べる
指摘された点に対応できない場合は、できない理由を説明しましょう。例えば、追加のデータや実験を求められた場合に、必要とは思えないという場合があるでしょう。その場合は、そう思う理由を丁寧に述べます。(資金の不足や時間がないといった個人的な理由を挙げることは控えましょう。ネガティブな態度は示さないほうが賢明です。)徹底した分析と有益なコメントへの感謝の意を示した上で、指摘に完全には同意できない理由を丁寧に説明しましょう。回答は、明快かつ論理的で、説得力のあるものでなければなりません。
7. 新たなデータや図を加えた場合は、その場所を伝える
新しいデータや図表などを追加した場合は、どこに追加したかを明確に示します:ページ番号、図中のパネル番号などを述べましょう。必要に応じて補助資料を追加し、十分な資料がそろっているようにします。
8. 礼儀正しく、敬意を払う
査読者が、あなたの論文に長い時間と多大な労力を費やしたことを忘れないようにしましょう。ネガティブなコメントがあったとしても、個人的な非難と受け止めないようにしましょう。査読者はあなたの研究を批判しているのであって、あなたを批判しているわけではありません。また、査読者からのアドバイスは、あなたの研究の価値を高めるものです。好意的でない、あるいは理不尽に感じるコメントがあったとしても、礼儀正しい態度を崩さず、相手を尊重しましょう。複数の査読者が、対立する見解を示すことも時にはあります。しかし、査読者はそれぞれにあなたのRebuttal letterを読んでいるはずです。ですから、すべての査読者に同じように丁寧な態度を示すのがベストです。カバーレターのトーンは非常に重要です。
9. 適切なことばで締めくくる
Rebuttal letterの締めくくり方にも注意しましょう。次のような文では、傲慢な印象を与えるかもしれません。
"Since all the corrections have been made, we hope the manuscript will now be accepted without any further changes.”
率直かつ丁寧な結びとして、以下のように表現できます。
“We look forward to hearing from you regarding our submission. We would be glad to respond to any further questions and comments that you may have."
これならフォーマルかつ礼儀正しく、必要ならさらなる指摘を受けたいということを伝える謙虚な表現になっています。
ジャーナルとやり取りする際は、こちらのハンドブックがあると便利です。各種テンプレートが紹介された、心強いガイドです。
A practical handbook of templates for communicating with the journal
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