査読の基本と著者向けガイドライン

査読の基本と著者向けガイドライン

査読とはどういうもので、どのように始まったのか?

学生や若手研究者は、査読とは一体何だろうと思うことが多いです。簡単に言えば、特定の研究分野の専門家仲間が研究を評価(evaluation)・査定(assessment)することです。査読システムは何世紀もの間、科学的出版の要と考えられてきており、評判の高いジャーナルは、査読により科学出版における品質が保証されると信じているため、査読を用いています。科学ジャーナルが出版された時から、何らかの形の掲載前審査は常に存在していましたが、こんにちの査読プロセスは時間とともに発展してきました。当初は、論文の採択・不採択の判断は、通常、ジャーナル・エディターだけが行っていました。けれども20世紀初頭になると、研究者が隙間的な分野を探索するにつれ、科学はますます専門的になり始めました。そのため、エディターが、掲載する価値があるのはどの論文かを自分だけで決定するのが難しくなりました。さらに、科学者の数が大量に増え、職、テニュアー、助成金などの決定における論文掲載の重要性が増したため、論文の数も大量に増えたのです。それにより、査読のようなシステムへの圧力も大きくなりました。 

 

研究における査読の役割とは?

査読により、専門領域の専門家が新しい研究を吟味することになるため、研究の信頼性と評判が高まります。査読プロセスは、ジャーナル・エディターがある論文に掲載価値があるかどうかを決めるのを助けるので、査読とはエキスパートによるアドバイス・システムとも言えます。査読を理解するには、ジャーナルの編集者による意思決定について理解しなければなりません。差読者は、論文の採択・不採択の判断を下すわけではありません; 決定を勧告できるにすぎません。査読付きジャーナルでは、意思決定の権限は、もっぱらジャーナル・エディターか編集委員会にあります。

 

様々な種類の査読にはどんなものがあるか?

ジャーナルが違えば査読のタイプも違います

 - single blind(訳注:単盲検法ともいう。著者は査読者がわからないが、査読者は著者がわかる)、double blind(訳注:二重盲検法ともいう。著者、査読者ともに相手が誰かわからない)、open peer review(訳注:著者、査読者とも相手が誰かわかる) - など、ジャーナルの必要に応じ、様々な査読が行われています。ごく最近では、偽科学を除去する一つの手段として、掲載後査読(post-publication peer review) を実験的に開始しているジャーナルもあります。研究をレビューする方法は違っていても、査読システムに従うのは、研究を検証し、掲載された科学(論文)に世界的な影響力を持たせる、という目的によります。

 

査読への対処法

ご存知でしょうが、論文を掲載させるプロセスが一段階で終わるのはまれです。適切なカバーレターを付けた論文を投稿すると、通常はジャーナルからの返答が著者のところに来るまで何週間かは待たなければなりません。何ら編集もなく論文が採択されることはほとんどありません; たいていの論文は、掲載に至るまでに、査読者のコメントにもとづいた修正を何往復か経験しなければならないのです。査読者は、文章の編集(language editing)のような若干の変更から、さらに実験を加えるといった大幅な変更まで、査読者は改訂をやり直しを求めることができます。すべてのコメントが対処されてはじめて、ジャーナルは論文を採択するので、著者は、正確かつ丁寧に返答するといった、査読コメントへ返答するときのガイドライン頭に入れておくことが不可欠です。査読者(たち)から提案された変更すべてに同意する必要はありませんが、意見に何らかの違いがあるときは証拠を提示してその違いを正当化しなければなりません。このような場合は、論文の出版をできるだけ早くするために、修正論文投稿におけるアドバイス の助けを借りましょう。   

 

査読システムの問題点は何か?

査読システムにはたくさんメリットがありますが、決定の遅延、査読者のバイアス、盗用、個人的あるいは職業上の嫉妬心などの問題にも苛まれています。さらに、査読の過程に金銭の取引はないのが普通ですが、目に見えない多くのコストがかかっています。一番のコストは、査読者が論文をレビュー刷るのに費やす時間や、ジャーナル・エディターが査読者の手配をする時間です。通常、査読者は査読の仕事に対して何ら報酬を受けず、そのため、査読は、割りの悪い仕事か、それとも学術コミュニティに対する義務なのか、学者の間でも意見が割れています。

 

査読システムの究極の目的は、発表された科学(論文)の質の高さを保証することです。ですから、著者は、査読が果たすきわめて重要な役割を自覚し、自分の論文の質を向上させる絶好の機会であると、とらえなければなりません。

 

 

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