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【事例研究】自己剽窃を防ぐ
【事例】
あるお客さまの論文が一流の工学ジャーナルで採択されました。ところが、その著者はその決定に喜ぶかわりに、われわれに連絡を取り、次の極めて重大な情報を伝えたのです。実は彼の研究のごく一部が、別の言語でRegional journal(各国の国内誌) に掲載されていたのです。
その著者の説明によると、いくつか標準化実験を行っており、予備的所見をRegional journalで発表したということでした。また、彼は、Regional journalに掲載された論文が重複とみなされる可能性があることや、その掲載論文を今回の研究の中で引用しなければならないことを知らなかったため、今回の論文の中でその予備的研究を引用していませんでした。
たまたま今回は、私の同僚の1人とこの件について話したところ、問題の重大さに気づくことになり、私たちの指導を受け事態を打開する手伝いをしてもらうために連絡をしてきたというわけです。
【行ったこと】
エディテージの出版専門家は、自己剽窃とは何か、その結果として起こる校閲の問題
是正措置として、すでに発表したデータはすべて、原稿ファイルから取り除くよう求めました。さらに、著者には、原稿全体の適切な箇所で、発表済み研究の引用を付け加えてもらいました。原稿がだいぶ修正されたら、エディテージの専門家は、著者がジャーナルエディターに一筆書くのを手伝い、採択後に原稿ファイルに大きな変更が生じた理由を説明させました。
今回の研究は、同じ著者グループによる以前の研究にもとづいているため、いくつかデータを取り除き、適切な引用を加えたということを、エディターに伝えたのです。ジャーナルエディターは、再審査のため、査読者に論文を戻しました。1週間後、著者のところへ、変更と説明に満足したとの査読者からのコメントが届きました。お客様はようやく安心し、エディテージの専門家の援助と、自己剽窃について教えてくれたことに感謝していただきました。
【要約】
自己剽窃とは 書き手が研究をそっくりそのまま再掲載したり、新しい研究について書くとき以前書いた文章の一部を再利用したりする、一種の剽窃だと定義されています。出版倫理委員会(Committee on Publication Ethics (COPE))のガイドラインによると、ジャーナルエディターは余剰(redundant)出版であるとわかった場合は、その論文の撤回を考えなければなりません。
ここで取り上げたような事例では、著者が倫理的問題やその影響力に気づかないことが多いです。エディテージの専門家は、著者と密接にコンタクトをとり、すぐれた出版実践を著者と分かち合う責任を負っています。
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