悪質な査読によって何度もリジェクトされる事態に: ケーススタディ

悪質な査読によって何度もリジェクトされる事態に: ケーススタディ

事例: 投稿論文がリジェクトされてしまった著者は、査読コメントを見て驚きました。3人の査読者のうち、2人はマイナーリビジョン(要小幅修正)と評価して論文のクオリティに概ね満足していたものの、残りの1人が極めて否定的なコメントを付け、クオリティが極めて低いと評価していたのです。この査読者によると、新規性、実験数、文章校正が不十分なため、現状では出版できないとのことでした。著者は、それらの指摘も考慮した上で、全面的に論文の修正(プロによる校正も含む)を行いました。


その後、修正した論文を新たな論文として同じジャーナルに再投稿しましたが、再びリジェクトされてしまいました。評価は、最初の投稿時に受け取ったコメントと似かよっていました。前回同様、2人の査読者が極めて肯定的な評価を与える一方で、別の1人は複数の不備を指摘するとともに、極端に否定的なコメントを付け、リジェクトを提案していました。この論文を何とか出版しようと、修正に長い時間と労力をかけていた著者は、結果に納得できずエディテージに助言を求めました。


対応: エディテージのエキスパートが査読コメントを吟味したところ、否定的なコメントを行なった問題の査読者の指摘(とくに再投稿した論文に対するコメント)は不当であると判断されました。さらに、初回と2度目の査読コメントの文体には類似する点が多いため、この査読者は同一人物である可能性がありました。私たちは著者に、この決定に対して以下の要領で不服を申し立てるようアドバイスしました。
 

・1つ1つの指摘に対して、補足資料とともに反論を用意する。
 

・再査読が行われる場合は、問題の査読者を変更してもらうよう編集者に依頼する。
 

著者がこれらのアドバイスを実行すると、編集者から数日後、別の査読者たちによる再査読を実施するとの返答が届きました。その結果、すべての査読者が内容に満足し、わずかなマイナー修正が求められただけでした。修正後、論文は無事アクセプトされました。


後日談ですが、編集者によると、リジェクトの提案を繰り返していた問題の査読者には、ほかの著者からも似たような苦情が相次いだため、この査読者の登録を解除したとのことです。


まとめ: 多くのジャーナルは抗議に関する明確な指針と手順を定めており、すべての抗議はこの手順に基づいて処理されます。自身の論文に対する判定が不当であるという確信があるのなら、著者には抗議を行う権利があります。通常、抗議のプロセスは、正規の投稿による審査よりも厳格に行われます。抗議を受け取ると、複数の編集者が査読報告書/コメントと著者の反論を査定し、各自が見解を出します。その後、それぞれの見解について議論した上で判定が下されます。再評価を要すると判断されれば、論文は再査読に回されます。このように、抗議のプロセスは極めて厳密かつ公正に行われます。


抗議しても無駄だと誤解している著者も多いですが、抗議内容に十分な説得力があり、補足データやエビデンスを添えた、強固かつ客観的な反論を用意できれば、編集者は間違いなく公平な機会を与えてくれます。


しかしながら、リジェクトされる度に抗議すればいいというわけではありません。抗議はあくまで例外的な措置であり、できる限り慎重に行うべきです。判定が不当だと心から感じるのなら、まずは指導教官や先輩、その他の専門家に相談し、自分の考えに対する意見を求めましょう。抗議は、揺るぎない根拠がある場合にのみ行うようにしてください。また、抗議のやり取りの際は、攻撃的・感情的な言葉を避け、丁寧かつ客観的にコミュニケーションを取るようにしましょう。


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