博士論文とジャーナル論文の9つの違い

博士論文とジャーナル論文の9つの違い

研究者は、論文の出版という大きなプレッシャーに晒されています。そうした状況において、博士号取得後に博士論文をジャーナル論文として出版することは、論文出版を始めるにあたっての1つの足掛かりとなるでしょう。執筆を開始する前に、まずは博士論文とジャーナル論文の違いをよく理解しておくことが重要です。以下の図は、博士論文とジャーナル論文の9つの違いをまとめたものです。2種類の論文が、学術文献としての存在目的や読者ターゲットという点でまったく異なるものである、ということを理解する一助としてご利用頂ければ幸いです。


※こちらの図は、PDF版の無料ダウンロードが可能です。プリントするなどして、参考資料としてお気軽にご利用ください。
 

9 differences between a thesis and a journal article


博士論文とジャーナル論文の9つの違い

 

博士論文

ジャーナル論文

1. 目的

教育: 知識を示す

進歩: 関連領域への新たな知見の提示、貢献

2. 読者

教育委員会/教授: 学位授与にふさわしいかを審査

多忙な科学者や研究者: 裏付けのある実用的な情報を求めている

3. 長さ

長い: 50ページ、20,000ワード程度になることもある

短い: 3,000~6,000ワード程度。分野、ジャーナルによる

ヒント: コピー&ペーストは避け、言い換える

4. アブストラクト

比較的長い: 350ワード程度

比較的短い: 150~250ワード程度

5. 序論(イントロダクション)

より詳細に: 先行研究を熟知していることを示し、より広範に背景を組み立てる

より簡潔に: 研究目的に繋がる先行研究の不足点を説明するための情報に限定する

6. 材料および方法

詳細に説明: 各アプローチおよび方法論を十分に説明・提示する

選択的に説明: 使用した方法論と行なった実験についての詳細のみを説明する

7. 考察

結果を詳細に解説: 得られたデータを完全に理解していることを示し、研究の今後の方向性を提示する

結果を明瞭簡潔に解説: 主な結果のみについて考察し、研究目的に直結させる

8. 参考文献

包括的リスト: 文献目録や用語の定義リストを含む場合もある

選択的リスト: 論文内で引用された文献のみを含める(引用文献数を制限しているジャーナルもある)

9. 付録(Appendix)

必須: 論文を完成させるために必要な情報を含める

任意: ページ数制限などにより含めることができない場合もある


 

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