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シュプリンガーが中国人著者による論文107本を大量撤回
シュプリンガーが、がん研究を扱うオープンアクセスジャーナルTumor Biology誌に掲載されている107本の論文を撤回することを発表しました。これは、史上最大規模の大量撤回となります。編集長のトルニー・スティグブランド(Torgny Stigbrand)氏は、「厳格な調査の結果、査読プロセスの不正を認めざるを得ない証拠が見つかった」とし、出版倫理委員会(COPE)の勧告に基づいて撤回の判断を下したと説明しています。昨年末には、シュプリンガー・ネイチャーおよびバイオメド・セントラルによる浄化作戦の一環で、不正査読とオーサーシップ操作の疑いがあるとして、同誌の論文25本が撤回されました。
査読に大きく依存している学術出版界において、出版のプレッシャーに耐えきれなくなった著者が、このプロセスを乗り越えるために不正行為に走ってしまうことは珍しくありません。専門分野によっては、著者に査読者の推薦を求めているジャーナルもあるため、このシステムを悪用しようと考える著者も、当然出てくると思われます。たとえば、実在する研究者の名前に偽のメールアドレスを添えて推薦し、有利な査読を行なってくれる査読者や自分自身に査読依頼が届くよう画策するなどの不正ができてしまうのです。編集者がこの不正に気付かなければ、査読結果が承認され、論文がそのまま出版されてしまう可能性があります。
2016年に25本の論文が撤回された、シュプリンガーによる先述の浄化作戦の延長として、今回は107本の論文撤回に至りました。これらの論文は2012~2016年に出版されたもので、興味深いことに、多くが中国の著者(北京大学、上海交通大学、復旦大学、中国医科大学などの名門機関の研究者も含まれる)によって執筆されたものでした。ただし、このスキャンダルは、中国の研究の質を反映するものではありません。中国は、世界の科学研究および科学出版をリードする国の1つであり、ゲノム工学や核融合の分野において著しい貢献を果たしています。シュプリンガーのアルナウト・ジェイコブス(Arnout Jacobs)氏は、「今回の大量撤回は、世界中の論文を対象にしており、中国だけを標的にしたものではない
2016年12月、Tumor Biology誌は、シュプリンガーからSAGEに籍を移しました。SAGEの広報担当者は、運営者が変わったことをきっかけに同誌の査読プロセスは徹底的に見直され、現在では不正防止の成果が上がり始めていると説明しています。
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