中国が、研究状況を改善するための新ガイドラインを発表
中国で科学と教育を管轄する省庁から、国内の研究状況の改善を目指す新たなガイドラインが発表されました。
中国では、研究者の業績は出版論文の数で評価されており、とくにScience Citation Index (SCI)の収載ジャーナルが重視されています。その結果、研究者たちは、資金と仕事と昇進を獲得するために、出版点数を増やさなければならないというプレッシャーにさらされています。また、インパクトファクターの高い国際誌での一定数の論文を出版することも奨励されています。しかしながら、こうした状況によって、論文の質や研究不正への懸念が高まっています。
これらの問題に対処するため、今回発表されたガイドラインでは、中国の高等教育機関において、研究者の昇進や採用に際して論文出版を要件することを止め、その代わりに、分野で果たした貢献度や社会への影響度に基づいて評価するべきだとされています。この評価は、論文を出版したジャーナルのインパクトファクターではなく、専門性を持った同業者の意見に基づいて行なわれることになります。またSCI収載ジャーナルでの出版への依存度の一層の低下を図り、研究者は、国内誌での出版を奨励されています。
中国の内外で活動する複数の研究者が、昇進に際して出版論文の数よりも質が重視されるようになるとして、今回の新ガイドラインを歓迎しています。しかしながら、ラフバラー大学(英国)の化学エンジニア、Jin Xuan氏のように、今回の動きが「中国人研究者をグローバルな研究コミュニティから疎外する」ことにつながるのではないかと心配する人もいます。
中国は、世界でもっとも多くの科学論文を出版しており、さらに、国際共著論文を世界で3番目に多く出版しています。新たな政策が実行されれば、質の高い中国の論文が、国際誌ではなく中国国内誌で出版されるケースが出てくるでしょう。したがって、中国人研究者たちは、海外の研究者との共同研究の機会が減るのではないかと心配しています。
新ガイドラインでは、同業者による評価をふまえて研究者の業績を判断することになっているので、バイアスが入り込む可能性も懸念されています。中国の研究者たちは、これらの要素が国の競争力を脅かすのではないかと感じています。
これらのガイドラインが中国全土の研究機関でどのように実行されるのかはまだ不明ですが、この政策が実行に移されれば、中国のみならず、世界の研究風景が変わることになりそうです。
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参考資料:
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