中国、ヒト遺伝子研究の規制強化を審議
2018年11月、中国人研究者の賀建奎(He Jiankui)氏が、遺伝子編集技術「CRISPR-Cas9」を使った世界初の遺伝子改変ベビーの誕生を発表しました。この発表に対しては、中国国内だけでなく、世界中の研究者から非難の声が上がりました。これを受け、中国の立法府は、ヒトの遺伝子編集に関する新たな法整備に向けて動き出しました。
中国では、民法が、市民の「人格権(personality rights)」に対する非刑事的紛争を管轄する、包括的な法律となっています。中国立法府は、ヒトの遺伝子編集に関する規制の厳格化を目指し、民法の人格権のセクションに新たな条項を設ける準備を進めています。この条項は、ヒトの遺伝子や胚に関する研究を行なっている研究者に対し、「法律、行政規則、関連法規を遵守すること」と、被験者の健康に悪影響を与えないようにしつつ、その人格権を守ることを求めるものです。
2019年5月初頭に著名な中国人生命倫理学者4人がNature誌に寄せた記事では、「見境のない人体実験から人々を守るために、大きな変化を起こさなければならない」と、中国政府に対する要請が強調されていました。
中国で、ゲノム研究の規制に明確な動きが見られたのは今回が初めてです。上海社会科学院のリサーチフェローで保健法の専門家でもあるリュー・チャンギウ(Liu Changqiu)氏は、「市民のもっとも基本的なプライバシーと言える各自の遺伝子情報に関する医学的・科学的研究に対しては、民法で規制を強化する必要がある」と述べています。
全国人民代表大会の常務委員会は、ヒトの遺伝子研究に関する規制を記した最新の民法草案を、2019年4月に受理しました。草案は可決される見込みで、来年からの導入が期待されています。
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