発生率と有病率の計算: 生物医学研究者のためのヒント

発生率と有病率の計算: 生物医学研究者のためのヒント

生物医学領域の疫学分野では、発生率と有病率の計算は統計分析の重要部分です。どちらも疾病頻度の尺度ですが、焦点と解釈が異なります。発生率は、一定期間に新たに発生した疾病数を示し、有病率は、ある時点に集団内の何人が特定の疾病にかかっているかを示します。

 

発生率と有病率から分かること

 

生物医学研究で発生率と有病率を計算するのには、以下のような理由があります。

 

1. 疾病負荷を把握する: 発生率と有病率は、疾病負荷を測るための重要な指標です。発生率と有病率を計算することで、全体的な疾病負荷と、それが時間とともにどのように変化していくかを知ることができます。

 

2. 危険因子を特定する: 発生率と有病率を計算することで、疾病の危険因子を特定することができます。たとえば、特定の集団で疾病の発生率が高ければ、遺伝的または環境的要因が高発生率に寄与している可能性について調査し、その結果をもとに疾病の危険因子を明らかにします。

 

3. 疾病の傾向を監視する: 発生率と有病率を経時的に追跡することで、疾病パターンの傾向をモニターし、変化を確認することができます。調査結果は、公衆衛生当局による適切な疾病予防および疾病管理対策の策定に役立ちます。

 

4. 介入の影響を評価する: 発生率と有病率は、疾病の予防または治療のための介入(とくにコミュニティ全体への大規模な介入)の有効性を評価するために使用することができます。たとえば、子どもの鉄欠乏性貧血(疾病)をなくすために、学校給食で鉄分豊富な献立を提供する(介入)ことにしたとします。介入前後の疾病の発生率と有病率を比較することで、介入が疾病に影響を与えたかどうかを評価することができます。

 

発生率と有病率の計算におけるベストプラクティス

 

発生率と有病率のデータは公衆衛生政策に幅広い影響を与える可能性があるため、データの分析と確認は厳密に行わなければなりません。ここからは、発生率と有病率の計算におけるベストプラクティスを紹介します。

 

1. 研究対象の母集団を明確に定義する: 年齢や性別といった情報を含め、研究対象の母集団に関する包括的な説明を行うことが重要です。こうすることで、得られた発生率と有病率が母集団における典型であることを示すことができます。

 

2. 対象期間を明確にする: 発生率や有病率を計算した期間を明確に述べる必要があります。こうすることで、得られた発生率と有病率の正確性を示すことができるとともに、異なる研究との比較も可能になります。

 

3. 適切な分母を使用する: 発生率と有病率の計算で使用する分母は、調査対象の母集団に適したものでなければなりません。たとえば、対象母集団を年齢で定義したなら、発生率または有病率の計算で使用する分母は、その年齢の総人口としなければなりません。

 

4. 適切な単位を使用する: 発生率と有病率は、たとえば10万人あたりの症例数といった適切な単位を用いて報告します。こうすることで、得られた発生率と有病率を、別の研究と比較できるようになります。

 

5. 下位グループごとに報告する: 研究対象の集団内に性別や人種などの下位グループがある場合は、下位グループごとに発生率と有病率を報告します。こうすることで、得られた発生率と有病率を、各下位グループの典型として示すことができます。

 

6. 信頼区間を示す: 信頼区間を示すことで、得られた発生率と有病率の精度の高さを示すことができます。また、発生率と有病率の統計的有意性の解釈にも役立ちます。
 

 

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