カクタス・コミュニケーションズ、デンマークのAI、自動言語処理を専門とする テクノロジー企業、アンサイロ社(UNSILO)の買収を発表
2020年1月28日、国際的なサイエンス・コミュニケーション企業であるカクタス・コミュニケーションズ(Cactus Communications、以下、カクタスと省略)は、デンマークのAIおよび自然言語処理(NLP)を専門とし、テキスト分析、言語・データサイエンスに特化した企業、アンサイロ社(UNSILO)を買収しました。
アンサイロ社はマッツ・リダール(Mads Rydahl)とトーマス・ラウセン(Thomas Laursen)によって創設されたデンマークの企業で、学術出版社に向けたユーザーエクスペリエンスの向上とビジネス拡大に役立つAIツールやソリューションを提供しています。特徴的な製品として、学術出版社がコンテンツを新たな方法でパッケージ化、販売する支援を行う「Classify」、既存の研究や新たな研究の発見に役立つ「Recommend」、ジャーナル編集部のキャパシティ拡大を支援をする「Evaluate」などがあります。アンサイロ社はSTM業界のリーディング企業であるBMJ、Wiley、Clarivate Analytics、Taylor & Francisなどとパートナーシップを組み、学術出版のエコシステム構築に取り組んでいます。
共同創業者のマッツ・リダールは、Apple社に買収される以前のSiriで製品設計を指揮していました。共同創業者兼CEOのトーマス・ラウセンは、「出版および製薬業界におけるカクタスの規模と影響力を、アンサイロのテキスト・インテリジェンス・プラットフォームと組み合わせることにより、学術出版のクオリティと論文公開までのスピードをより改善することができ、共通する顧客の利益をさらに追求することができます。」と語っています。
カクタスは研究者向けの出版支援サービスを提供する「エディテージ」をはじめ、科学コミュニケーションを円滑化するための様々なソリューションを提供してきました。近年はテクノロジー開発に注力し、これまでに製薬業界および学術出版業界のエコシステムを支援する独自のツールやプラットフォームの開発を行っています。カクタスが開発した著者のためのリソース管理システムは、現在世界で300万人の研究者に利用されており、そのワークフロー管理ポータルは年間で100万以上の原稿に対応しています。さらに補完的な製品ラインナップとして、出版社が科学的コンテンツを評価するのに役立つ自動ドキュメント評価ツール「Ada (Automated Document Assessment、通称エダ)」、論文原稿のジャーナル投稿の準備度を評価するAIツール「PubSURE(パブシュア)」を提供しています。
今回の買収発表の前日、カクタスの共同創業者兼会長のアヌラグ・ゴエル(Anurag Goel)は次のようにコメントしました。「カクタスは科学的コンテンツのクリエイター、出版社、およびコンテンツの消費者に向けた広範なスペクトルのソリューションを提供する企業として進化しました。 AIアルゴリズムは、急速に増加する科学コンテンツの消費と意味の理解を手助けするために今後ますます重要な役割を果たします。 アンサイロの買収により、我々がターゲットとする業界向けに構築しているAI製品の開発スピードと品質を飛躍的に向上させることができると考えています。」
カクタスの最高技術責任者であり、カクタスラボ(Cactus Labs)の責任者でもあるニシュチェイ・シャー(Nishchay Shah)は、「カクタスは機械学習とAI駆動型ソリューションのリーディング・プロバイダーとしての地位を確立するため、ステップを積み重ねてきました。アンサイロ・チームと協力することで、カクタスラボのチームの能力をさらに拡大することができるこの機会に非常に興奮しています。次の5年の我々のヴィジョンは、データオーギュメンテーション技術と自動化技術を通じて、仕事そのものを変革させるテクノロジーと製品を生み出していくことです。」
この買収は、外国投資を呼び込み、優れたテクノロジーの最前線としてのデンマークを紹介する、デンマーク政府の外交戦略の一部として行われました。デンマーク政府外務省の投資部門、Invest in Denmark (investindk.com)の投資ディレクターのマリア・タープ(Maria Tarp)は次のように述べています。「今回の投資は、デンマークでまさに芽吹き始めたAI環境の成長と国際化を促進するきっかけとなるでしょう。カクタスとのこれから始まる長く実りある関係に期待しています。」
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