8出版社が価格設定の詳細を公開―プランS試行の一環として
研究助成機関の連合体であるcOAlition Sが開始したパイロットプロジェクトで、出版社8社が、価格設定に関する詳細情報を公開することを申し出ました。このプロジェクトの主な目的は、出版コストに関する透明性を確保することで、図書館や助成団体が、十分な情報に基づいて判断を下せるようにすることです。
cOAlition Sは 2020年1月14日、コンサルタント会社Information Powerが発表したレポートを通じて、このプロジェクトについて発表しました。連合体に資金を提供しているこのレポートでは、「透明で現実的かつ本質的な方法でオープンアクセス(OA)のサービスと価格に関する情報を提供する」ための枠組みが、出版社に示されました。
プランSの一環として、ジャーナルや出版プラットフォームは、「出版コストおよび、出版料に影響するすべての要素に関する情報」を提供する義務を2021年1月から負うことになっています。したがって、助成団体、図書館、出版社、大学は、この情報を提供するための枠組みを、協力しながら発展させていく必要があります。
プロジェクトに参加する出版社には、アクセプト率、査読管理にかかる費用の割合、購読料、OA出版のためのAPC(論文掲載料)などを含む、24のパラメーターの詳細を提供することが求められています。これとは別に、レポートでは、出版社が表明した懸念(上限価格の規制、コストへの過度な注目、比較の範囲がジャーナル・助成団体・図書館員などと広すぎること)も紹介されていますが、この取り組みの目的は利害関係者間の信頼を築くことであると強調しています。
プロジェクトに参加しているEMBO Pressの科学出版部門長を務めるベルント・パルヴァラー(Bernd Pulverer)氏は、「税金を原資とする研究がどのように出版されているかを、研究コミュニティや助成団体や納税者に分かるようにすることは、当然のことです」と述べています。
1月中旬から3月まで続く今回のプロジェクトには、PLOS、ヒンダウィ、シュプリンガー・ネイチャーなどの出版社が参加しています。集まったデータは匿名化され、助成団体や図書館に共有されます。cOAlition Sは、プロジェクトの結果を見た上で、枠組みを再構築する必要があるか、またはより幅広く実行に移せるかどうかを判断するとしています。
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