プロの学術編集者は、研究論文の「表記ゆれ」を入念にチェックし、文法やスタイル、句読法、明瞭さに関する問題を発見する訓練を積んでいます。原稿レビューの第一段階では明らかな言語ミスの修正、第二段階では、文章の明瞭さ、流れ、つながりをチェックするのが普通です。そして最終段階では、本当に間違いのない原稿に仕上げるための特別なチェックを行います。
繰り返しの編集作業も、表記の一貫性チェックで即座に自動化
スペル・文法チェックは、原稿執筆中のタイプミスやちょっとした間違いに対処するための一般的なステップです。しかし、学術的な文章には、通常の汎用的なスペルチェッカーでは認識できない特別な慣例がいくつかあるため、一般的な校正ツールでは不十分です。編集者が推奨する、表記の一貫性チェックのベストプラクティスは、当該文章に登場する「表記ゆれ」一覧を作成し、最終段階で著者か編集者がそれぞれの項目を検索して、チェックする方法です。
Paperpal では、そのような最終段階での一貫性チェックを自動化しているため、編集者のベストプラクティスを数分で、ワンクリックでご利用いただけます。Paperpal Preflightや、Paperpal for Manuscriptに文章をアップロードすれば、表記の一貫性チェックが自動的に実行されます。チェック済みのファイルをダウンロードすると、MS Wordのコメント機能を通じて、言葉遣いやスタイルガイド遵守に関する提案をすぐにご覧いただけます。
Paperpalの表記の一貫性チェックは学術文章に特化
科学的な文章に特化したPaperpalでは、文章の一貫性チェック機能が学術的な慣例に沿うよう設計されています。
- ハイフン使用とスペルの一貫性
複数の形式で表記できる単語については、文章全体を通して同一の表記を用いることが重要です。Paperpalでは、文章中のハイフン使用やスペルの一貫性を保つために、同一単語が2つ以上の形式で表記されている場合、その箇所を指摘します。例えば、同一文章内に“non-adhesive”と“non adhesive”という表記が混在する場合や、“co-operation”と“cooperation”という表記が併用されている場合、ハイフン使用に関する一貫性のメッセージが表示されます。
また、同じ言語スタイルでも、1つの単語に2つ以上のスペルがある場合もあります。例えば、イギリス英語ではorganizeとorganise、どちらのスペルも許容されていますので、言語チェックAIではこれらの違いは修正されません。Paperpalでは、同一文章内で1つの単語が複数のスペルで表記されている場合、スペルに関する一貫性が指摘されます。 - 数式、表、図の表記スタイル
Paperpalは、文章内で表や図を引用する際の表現に関しても一貫性を確認します。例えば、同一文章内で“Tab 1”と“Table 3”が混在していたり、“Fig 5”と“Fig. 5”が併用されている場合、Paperpalがそれらの不一致を検知し、表記スタイルをそろえるよう指摘します。なお、表と図については、それぞれ個別のメッセージが表示されます。
また、文章内で数式を引用する場合も、“Equation 1”や“Eq. 1”、“Eq 1”というように、さまざまな表記方法があります。Paperpalの一貫性チェックではこれらの問題も特定し、もし複数の形式で表記されていれば、即座に不一致箇所を指摘します。
- 学術的なスタイル慣例
月の表記は、日付を伴う場合、完全な語形で書いても（March）省略しても（Mar.）かまいません。そのような些細に思える問題でも、Paperpalの一貫性チェックは見逃しません。文章内でそのような不一致が見られる場合、強調表示でユーザーに知らせます。たとえば、“Jan 1”という表記と、“January 1”という表記が混在している場合、最終的な出力ファイルでは不一致を示すメッセージが表示されます。また、P値の表記形式もさまざまです（“p=0.05”、“P>0.02”、“P<0.05”）。Paperpalの表記の一貫性チェック機能では、文章内のP値をすべてチェックし、不一致箇所を強調表示します。例えば、文章内に“p=0.05”と“P>0.02,”がある場合、Paperpalが指摘します。
- 記号前のスペースと繰り返し
数字の後に記号が来る場合、数字と記号の間にスペースを入れる場合と入れない場合があります（”23℃”か”25 ℃”）。Paperpalは文章内でのそのような表記の不一致も指摘します。例えば、同一文章内で“10%”と“12 %”が混在する場合、一貫性のメッセージが表示されます。
また、数値の範囲を書く際、両方の数字の後に記号をつけるとき（9%-10%）と、2番目の数字にのみ記号をつけるとき（9-10%）があります。Paperpalでは、そのような記号の繰り返しに一貫性がない場合にもメッセージを表示します。
Paperpalを活用することで、著者は重要な事柄にのみ集中し、表記の一貫性の微妙な違いは専門家に任せることができます。表記ゆれをなくすことで、読者は研究内容の理解を深め、実際の意図を読み取ることができるため、円滑なコミュニケーションが期待できます。
