自己剽窃とは?

What is self-plagiarism

剽窃とは、実際には自分のものではないものを自分のものだと主張することです。学術出版の場合、主に、テキスト、イラスト、写真、数式などが対象となります。自己剽窃は、かつて自分のものであったかもしれないものを、知らずに、あるいは意図的に、新鮮でオリジナルなものであり、これまで一度も使われたことがないと主張する場合に使われます。

自己剽窃の例

あなたが執筆し、発表した論文の一部として記述した実験手順について考えてみましょう。時間と労力を節約するために、あなたは元の記述をコピーし、現在執筆中の別の論文に貼り付けたとします。その文章を引用符で囲み、前の論文への引用を忘れないようにすれば、まったく問題なく、剽窃と非難されることはありません。しかし、コピーした文章が以前に発表されたものであることを全く示していない場合、あなたは自己剽窃の罪を犯していることになります。

「だがその実験手順は元々私が書いたもので、他人の文章をコピーして自分の文章だと偽っているわけではない」と思うかもしれません。確かにその通りですが、あなたはその文章をすでに一度使っているにもかかわらず、その事実を、引用符とそれに付随する引用を省略することで隠しているのです。そこが問題で、事実上、あなたは読者に不利益を与えているのです。別の例を見てみましょう。あなたは助成金申請書を作成し、その文章の一部を研究論文の序論として使いました。これは自己剽窃にあたるでしょうか? 実はこれも自己剽窃にあたります。

自己剽窃の定義

アメリカ合衆国保健福祉省のOffice of Research Integrityは、「自己剽窃は、以前の出版物(テキスト、データ、画像など)の一部またはすべての要素が、あいまいな謝辞、あるいは謝辞をまったく示すことなく、新しい出版物に再利用されること」と述べています。

自己剽窃は、しばしばテキスト・リサイクル(text-recycling)と呼ばれます。以下のテキスト・リサイクルの定義にあるように、この2つの概念は重複しています:

テキスト・リサイクルとは、 (1)新しい文書の素材が原文と同一(または形式・内容ともに実質的に同等)、(2)新しい文書で素材が(引用符やブロックインデントによって)引用として表示されていない、(3)新しい文書の少なくとも1人の著者が原文の著者でもある場合に、新しい文書内でテキスト素材(散文、ビジュアル、数式)を再利用することです。

自己剽窃の結果

読者に不利益を与えることは剽窃の一側面に過ぎず、著者が同じであるにもかかわらず同一の論文を異なるジャーナルで複数回発表することよりは、はるかに深刻度は低いものです。このような重複出版は非倫理的であり、重大な不正行為に相当します。当該ジャーナルが出版不正のケースにどのように対処したかを説明する論説は、以下のような可能性のある措置を示唆しています。

– 不正を犯した著者による今後の出版を一定期間認めない。

– 不正行為の事例を著者の雇用主または関連する専門機関に報告し、問題の調査を要請する。

– その分野の他の学術誌の編集者に知らせる。

– 公開の譴責声明を発表する。

自己剽窃を避けるには

テキスト・リサイクルが剽窃であるというのは迷信ですが、その迷信は広まっています。以下は、自己剽窃に問われないために、著者としてあなたがすべきことです。

– 以前に公開されたテキストを貼り付ける場合は、テキストを引用符で囲み、引用の形で出典を示します。

– 自分が書いたがまだ出版されていない、あるいは出版を意図していない情報源から文章を借用した場合は、引用を省略します。

– 自分自身の未発表の著作物(例えば、卒業論文や完成したプロジェクトに基づく論文)に大きく基づいている、あるいはそこから派生している論文は、投稿時にジャーナルの編集者にその旨を伝えましょう。

結論

たとえ引用や引用符でその事実を示したとしても、出版された文章からの借用は著作権の侵害となる可能性があります(あなたが文章などを借用した論文を出版したジャーナルに著作権を引き渡す承諾書に署名しているかもしれません)。それはまた別の記事で説明するとして、現時点では、自己剽窃は意図しない結果を招く可能性があることを覚えておき、著作権を侵害することなく自分の文章を再利用していることを事前に述べ、関連する情報または引用を提供し、必要であれば引用符を使用する方が安全です。


この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

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