国境を越えたリサーチコラボレーションを成功させるにはどうしたらいいか、考えたことはありますか? ここでは、リサーチコラボレーションにおける地理的・言語的な課題を克服するための2部構成の前編を紹介します。
実践的な国際リサーチコラボレーションが重要な理由
国際リサーチコラボレーションは、すべての研究者の競争条件を平等にする傾向があります。非英語圏の科学者が英語圏の研究者と協力して研究をすることで恩恵を受けることができるだけでなく、双方の研究者が多様な意見を取り入れ、研究課題に対する独自の解決策を設計することも可能になります。分野や組織を越えたコラボレーションやつながりは、あらゆる地域からの人々を歓迎し、科学における公平性と包括性を促進することを可能にします。科学におけるマイノリティ・グループを奨励することは、異なる視点を通して問題をブレインストーミングする上でも非常に有益です。透明性と効果的なコミュニケーションにより、科学はすべての人にとって公平なものになります。ただし、価値ある協力関係を促進するには、多くの課題が生じる可能性があります。
シナリオとコミュニケーションの課題
言語の違い:英語を母国語としない研究者とコミュニケーションをとる際、主な言語やコミュニケーション手段が英語でなければ、科学を探求するのは困難になります。
英語を話さない2人の科学者:異なる言語を話す科学者は、コミュニケーションにおいて大きなハードルに直面します。たとえ彼らの研究分野が互いの専門性を補完するものであっても、共通の言語を話さずに科学について議論することは難しいでしょう。
地理的な隔たり:たとえ同じ言語を話す研究者であっても、地理的に離れた場所に住んでいると、シームレスなリサーチコラボレーションが妨げられる可能性があります。試薬や実験装置の移動、研究室の訪問などが、現実的ではない場合があります。
このような課題は存在しますが、より円滑な研究を進めるための利点があるツールがいくつかあります。
より良いリサーチコラボレーションのためのツール
多言語コミュニケーションプラットフォーム:リアルタイムの翻訳を可能にするAI主導のプラットフォームを活用し、言語の壁を取り払いましょう。よく知られているGoogle 翻訳やBing Microsoft Translatorから、DeepL、Wordly.aiまで、さまざまな翻訳モードに対応するソフトウェアがあり、それぞれに特有のメリットがあります。
仮想コラボレーションスペース:SlackやMicrosoft Teamsなどのプラットフォームは、データ共有、ディスカッション、プロジェクト調整のための共有スペースを提供し、場所に関係なくコラボレーションを促進します。OverleafやGoogle Docsのような執筆プラットフォームは、プロジェクトドキュメンテーションにおける共同作業を可能にします。Mendeley、Zotero、Citaviのようなリファレンス管理ツールは、チーム間でリファレンスを簡単に共有するのに役立ちます。
オンラインコミュニティ:言語の多様性を受け入れ、包括的なリサーチコラボレーションを促進するグローバルな研究コミュニティに参加します。学会はコミュニティを通じてネットワークを築くのに役立ちますが、Twitter/X、LinkedIn、ResearchGateのようなソーシャルメディアプラットフォームも、科学コミュニティを探したりリサーチコラボレーション者候補を見つけたりするのに便利です。
他の研究者との研究においてこれらのツールを使用する際には、特定のグッドプラクティスに従い、これらのツールを効果的に使用することにも留意する必要があります。
ツールを効果的に利用するためのヒント
明確な指示を与える:協力して研究を進めるためのツールを使用する際に期待されることやガイドラインを伝えることで、誤解を避け、知識を広める際にグループ間の適切な透明性を確保します。
定期的なチェックイン:オンラインミーティングを定期的に開催し、全員が同じ認識を持っていることを確認し、問題があれば速やかに対処します。
文化的認識:文化の違いに留意し、それに応じてコミュニケーションスタイルを適応させます。これは、世界中のさまざまなタイムゾーンにも当てはまります。
(後編へ続く)
この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。