研究内容を一目でわかりやすく伝えられるグラフィカルアブストラクトは今や論文に欠かせません~天野滋先生にインタビュー

口腔内の細菌について研究を続けている天野滋先生(明海大学歯科医学総合研究所・客員准教授)に、ご利用いただいたエディテージのグラフィカルアブストラクトのサービスについてお話をうかがいました。天野先生が感じたグラフィカルアブストラクトの利点とは。ぜひご覧ください。

天野滋先生プロフィール

天野先生

歯学博士。明海大学歯科医学総合研究所の客員准教授。主な研究分野は形態系基礎歯科学。現在は大木製薬株式会社顧問として共同研究にも携わる。また、歯科基礎医学会や日本細菌学会など複数の学会にも所属。

グラフィカルアブストラクトを知ったきっかけは、投稿するジャーナルで必須だったから

天野 私は大学を卒業した後、ずっと基礎系で研究していましたが、65歳で退職し、今は歯科医学総合研究所に客員准教授として在籍しています。元々、微生物学の准教授だったので、そのままスライドしてやっている感じですね。歯科医学総合研究所では、口腔内の細菌を研究しています。歯科というと虫歯や歯周病を思い浮かべる方が多いと思いますが、私は歯周病の方の研究をしています。また、大木製薬にも顧問として在籍しており、いただいた研究費を大学に委託研究費として入れてもらい、それを使って研究を続けています。それ以外にも科研費を取ったり、他からも研究費を集めたりして、なんとか研究を続けています。

ご退職されてからも研究を続けるというモチベーションはどこから来ているのでしょうか?

天野 実は退職する数年前にある発見をしました。それが「抗がんペプチド」です。あるペプチドが、がんに効くということを見つけ、特許を日本国内で取ることができました。このペプチドをとにかく世に出したい、それが最終的な今のところの目標です。

それと、大木製薬さんからプロポリスについて研究してくれと言われて13年前からやっていたのですが、プロポリスの中にあるケンペライドとベツレトールという成分が歯周病菌に非常に有効なことがわかってきました。歯周病菌は全身疾患にも大きくかかわっているため、上記の成分を含んだ歯磨き粉を提供できれば、歯周病だけでなく、他の疾患、例えば糖尿病やアルツハイマー病、関節リウマチなど、いろいろな慢性炎症性疾患を予防できる、もしかしたら口腔咽頭扁平上皮癌も予防できるのではないかと考え、今回論文にしたわけです。

そういった中で今回、エディテージのグラフィカルアブストラクトのサービスをご利用いただいたのですが、先生がグラフィカルアブストラクトを知られたきっかけは何だったのでしょうか?

天野 最初にこのプロポリスの論文を投稿したのは「Biomedicine & Pharmacotherapy」 というジャーナルなのですが、3週間ぐらいして「うちでは出せません」と戻ってきました。そのときに向こうのSuggestionで「Current Research in Pharmacology & Drug Discovery」というジャーナルを勧められたのですが、投稿規定を調べてみたところ、グラフィカルアブストラクトを必ずつけなければいけないと。そこで初めてグラフィカルアブストラクトと言うものを知り、作り方などをいろいろ調べて、まずは自分なりにパワーポイントで作ってみました。ただ、パワーポイントで作ったものだと見た目を引くようなものではなく、これを提出するのはどうかと思い、制作してくれるところを探したところ、エディテージにそのサービスがあったのでお願いしたわけです。

最近は国内でも海外でも、特に医学系のジャーナルなどではグラフィカルアブストラクトが必須というところが増えているようですが、先生の周りでもそういった話は耳にしますか?

天野 今まではあまり聞きませんでしたが、最近は増えてきているようですね。投稿しようと考えているところを調べると、グラフィカルアブストラクトを要求するところが増えてきています。やはり、レビュアーが論文を詳しく読み込まなくてはいけない中で、グラフィカルアブストラクトがあれば、一目でその論文にどんなことが書いてあるのかがわかるのがいいのではないかと思います。一目でわからないようなグラフィカルアブストラクトでは意味がないですしね。

自分の思い描いていたイメージのグラフィカルアブストラクトができて大満足

天野先生がご自身で制作されたもの
左の原図を基にエディテージが制作したもの

今回、エディテージが作成したグラフィカルアブストラクトについて、最初にドラフトを受け取ったときにどんな印象を持ちましたか?

天野 私が描いていたものをきっちり出していただいたので、非常に満足しました。ただ、少しだけうまく伝わってない部分があったので、そこを伝えて直していただいて、完璧なものができました。自分が描いたものを送るということが大切なのかなと。そうすれば「こんなふうに作って欲しんだ」というのがわかるでしょうし、数値的なものも正しく入れましたので、それも良かったのかなと思います。やはりお互いにコミュニケーションを取り合うのが一番大切ですね。

天野先生がご自身で作成されたグラフィカルアブストラクトを送っていただいて、それを元に弊社の方で磨きをかけて、納品させていただいたという流れですね。ちなみにグラフィカルアブストラクトを今回は論文の投稿用としてご利用いただいていると思うのですが、専門分野以外の人が見たときにも理解しやすいというグラフィカルアブストラクトの特性をふまえると、ジャーナルへの投稿以外の用途も考えられますか?

天野 それはいろいろ考えられますね。先ほどもお話ししたように私は大木製薬さんから依頼されてこの仕事をしたのですが、大木製薬さんが開発した商品の歯磨き粉を販売するうえで、このグラフィカルアブストラクトを使えないかと聞かれました。ただ、著作権の問題や、日本語への翻訳が必要だと思うので、難しいのではないかとお伝えしました。

そうですね、納品されたグラフィカルアブストラクトは先生の所有物となるので、ご自由に使っていただいて大丈夫なのですが、ジャーナルで論文が出版されると、そこからの引用には気をつけないといけないですね。基本的には大木製薬さんとジャーナルとのやりとりになると思いますが、実はエディテージではそういった広報プロモーションのサポートも行っています。例えば、大木製薬さんからプロモーションする用にもう1回違う形で、かつプロモーションできるような形で作り直すっていうのも手ですね。

天野 それはいいですね。今回作っていただいたグラフィカルアブストラクトにはとても満足しているのですが、その理由としてはやはり、非常にわかりやすい、おそらく一般の方がみてもわかりやすい点だと思います。専門家が見てわかるのは当然で、一般の方が見てもわかりやすいかどうかというところが一番のポイントなのですが、これに関して非常に良かった印象です。

研究内容を伝えインパクトを与えるのにグラフィカルアブストラクトは最適

先生の研究分野の場合、一般の方々に直結するような研究をされていらっしゃるので、やはりその点が一番ポイントになってくるのですね。

天野 そうですね、今回は歯磨き粉という、皆さんが使っているものを対象にしていますので、そこは大切だと思っています。私の昔の上司からは「誰でもわかるような図を書けないと、研究では駄目なんだよ」と言われたことがあります。最終的に研究した内容をちゃんと図に書かないといけない、今で言うグラフィカルアブストラクトですね、それを30年前に言われていました。まさにその時代が来ているというか、メディアなどで発信するためには、パッと見るだけで内容がわかり、良いインパクトを与える必要があります。まず興味を持っていただくことはとても大事ですよね。私も論文を読む際は、文字のアブストラクトとグラフィカルアブストラクトをどちらも見ますが、両方を見ることでより理解度が増すと思います。文字の場合は、頭の中でイメージを描かないといけないのですが、そのイメージとグラフィカルアブストラクトが一致すると、なるほどとすごく納得できた形になりますね。今後ジャーナルに論文を投稿する際、グラフィカルアブストラクトが必須となっていないジャーナルでも、グラフィカルアブストラクトを添えようと思っています。

そのほか、今回エディテージのグラフィカルアブストラクトのサービスをご利用いただいて、何か感じたことなどはありますか?

天野 そうですね、納期に関しては、もっと時間がかかるかと思っていました。そんなに簡単に描けるものではないので、2~3週間はかかるかと思っていたのですが、3日とか4日でドラフトが来るのにはびっくりしましたね。あとはやはりクオリティの高さです。自分では作れないレベルだと納得できるクオリティだったので、料金的にはまったく問題なかったですね。ぜひまた利用させていただければと思っています。

いろいろと貴重なご意見をありがとうございました。


エディテージのグラフィカルアブストラクト制作サービスは、あなたの論文とターゲットジャーナルをお知らせいただくだけで、投稿ガイドラインに合わせたグラフィカルアブストラクトを制作しますので、イメージの制作が不慣れな方やお時間のない方、また研究発表後により多くの方の目に触れるようにしたい、と考えている方は、ぜひこの機会にサービスをご検討ください。

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グラフィカルアブストラクト制作サービス
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この記事を書いた人

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