学会や研究集会を開催するためには、開催の告知から参加者の登録、聴講料の決済など、やることがたくさんあります。それは会の大小を問わずに必要なことであり、その準備などの大変さで、学会や研究集会の開催をためらう人も少なくないのではないでしょうか。その悩みを解決してくれるサービスとして注目されるのが「スカラーズミーティング」。開発者の《秀和ウェイブシステム》代表取締役CEO・毛利秀巳さんにお話をうかがいました。
医療系の学会や研究集会は、事前登録から受付、決済まで
スカラーズミーティングにおまかせ!
編-まずはスカラーズミーティングについて教えてください。
毛利-スカラーズミーティングは医療系に特化した、学会や研究集会、学術集会の事前登録から受付、決済まで、ひとつのシステムで行なうことができるサービスです。元々は新型コロナウイルス感染症が出る前から稼働していて、オフラインでの会のサポートをメインにしていました。たとえば受付システムでは、受付で名前や大学名を言ってもらえれば検索でき、「出席」というボタンを押せば出席が記録されるなど、参加者の出欠管理もしやすい形となっています。コロナ禍以降はオンラインでの会で利用される方も多くなってきましたね。
編-参加の申し込みだけでなく、決済もこのシステム上で完結できるんですか。
毛利-はい。会によっては、例えばドクターは1万円で看護師は5,000円というように、参加者によって参加費が異なっていることがありますが、それも対応可能ですし、抄録集を必ず買わないといけない場合は「必須」にしたり、お弁当など参加者の希望に応じて選べるものはオプションで選択可能にするといったこともでき、それらを一緒に決済することが可能となっています。
会の登録は自由にできますが、決済機能がある都合上、たとえば架空の学会をでっちあげてお金だけとって消えるということがあると困るので、実際に会がその場所で開催されるのか、主催者が実在するのかなど、きちんと審査させていただいています。
編-申し込みと決済以外には、スカラーズミーティングにはどのような機能があるのでしょうか?
毛利-機能としては「抄録の投稿」と「査読」の機能があります。抄録を投稿していただいて、それをスカラーズミーティングに登録されている方に対して査読者を割り当てると、割り当てられた査読者はそれに対して評価をすることが可能です。抄録の検索もできますので、便利だと思いますよ。
編―こうした機能を無料で使うことができるんですか?
毛利-はい。有料チケットの販売時のみ決済処理費用(1決済につき3.9%+¥30)と、販売代金払い出し時の振込手数料はご負担いただいていますが、それ以外は無料でご利用いただけます。
学会や研究集会をする際のハードルを下げるお手伝いをしたい
編-さまざまな機能が無料で提供されているというのは驚きですが、なぜこのようなサービスを始めようと思ったのでしょうか?
毛利-学会には大きいものだけでなく、小さなものもけっこうあるんです。たとえば以前にお手伝いしたのは、会費が2,000円で会場は大学の教室、日本中から集まるんですけれども、その研究をしている人が100人くらいしかいないので、来ても参加者は50人というものでした。でも規模は小さくても、非常に重要なことを話されているんですよね。ただ、年会費が2万円とか3万円とかの大きい学会では予算規模も大きいのですが、小さい学会だと年会費1000円とか500円などで、予算的にはかなり苦しいというところも。そこを支援して、皆さんがもっと手軽に学会や研究集会を開けるようにしたいと考えたのが、スカラーズミーティングを始めたきっかけです。
編―なるほど。毛利さんが代表取締役CEOを務める《秀和ウェイブシステム》では、創業時から東京女子医科大学のネットワークの構築などを手掛けていらっしゃるとのことですが、そういう中で、小規模の学会の存在だったり、そこに携わっている方のご苦労を知り、このようなサポートがあるといいのではないかと思ったというわけですね。
毛利-そうですね。今は少し事情は変わってきましたが、昔は教授の秘書さんが残業をして、メールやExcelなどを使いながら、開催の告知、参加者の管理、銀行振り込みの通帳付け合わせなどなどなど、いろいろなことをやっていらっしゃったんですよね。当時はそれを「大変だな」としか思っていなかったのですが、あるとき3,000人くらいの規模の学会のシステムを作ることになりまして、そこで感じたのが、大きい学会も小さい学会も、結局はやっていることは同じということ。規模の大小はありますが、事前登録があって、決済があって、抄録があって、当日の受付があって、発表があって、という流れは同じ。それをサポートできないかというところで、スカラーズミーティングを作り始めたというわけです。
編-規模は小さくてもやることは一緒だとなると、やはり携わる皆さんは大変ですよね。
毛利-大変ですよね。準備で短くても3~4カ月、長いと1年くらい。規模が小さくても、一般演題を募集する場合でしたら募集要項を作ったり、ひと通りそろえなければいけないものは一緒ですし、スポンサーがついていれば収支表などを作る必要があるというのも同じです。オンサイトでやるのであれば会場の手配や受付も必要になりますし、そのあたりは学会が大きくても小さくてもまったく同じだなという印象があります。
編-そういうたくさんやることがある中で、受付の参加者の管理だったりとか、決済だったりとか、けっこう大変なところをスカラーズミーティングを使うと、すごくスムーズにやりやすくなるというわけですね。
毛利-はい、参加者の集計作業をしなくていいですし、開催の告知も一斉配信ですることができます。それと最初の頃すごく感謝されたのは「当日、おつりを持っていかなくていい」ということ。有料の学会で、たしか1人3万7,000円くらいの聴講料だったと思うのですが、そうすると総売り上げは1,000万円くらいになります。セミナー自体が2日間なので、初日におつりとして100万円くらい持っていって、なおかつ1,000万円くらい預かることになるので、そのためにガードマンを雇ったり、男性を何人か雇ったり・・・。そういう大変さや気持ちの不安がなくなるのは本当にありがたかったとおっしゃっていました。
小さい研究集会のステップアップにも
会を開催する機会をどんどん増やしてほしい
編-毛利さんは、スカラーズミーティングを研究者の皆さんにどのように使ってほしいと思いますか?
毛利-繰り返しになりますが、小さい学会でお金を集める手段がないとか、事務の方の手間が大変だからとか、そういった理由で学会や研究集会が「簡単にできない」と思っている方がいらっしゃったら、まずは使ってみてほしいですね。10人以下の小規模なもの、3人でも4人でもいいと思いますし、それで会費500円でも1000円でもいいと思います。カード決済なら受講者は手数料がかかりませんからね。以前にあったのが、最初は30人くらいだった会を年2回くらいで、数年こつこつやっていたのが、最近は全国規模になって、おまけに単位もとれるようになり、一気に120人くらい集まるようになったという研究会があります。小さいところからステップを踏んで会を大きくしていくのにもスカラーズミーティングは使えるのではないかと思っています。
編―そういう機会をどんどん増やしていくというのは大事ですね。
毛利-すごく大事だと思いますね。参加費が無料の会というのはどんな形であれやりやすいと思うのですが、有料にするとなると、どうしてもカード決済の仕組みというのが必要になってきます。今はいろいろなサービスがありますが、スカラーズミーティングは告知も一緒にできるというところが便利だと思いますし、要件特化しているというところもあって、病院名や大学名、専門の科なども入れられるようになっています。あとからそれらのデータをお渡しすることももちろん可能ですし、主催された方があとからそれを使って告知をするといったことも可能です。
編―データ収集という部分でもとても便利ですね。似たようなサービスは世の中にいっぱいあると思いますが、研究者の方が学会・研究集会をやりやすい形にできあがっている、またそれを次に生かしていくことができるということが、スカラーズミーティングの大きな特徴ということができそうですね。
より多くの人に参加してもらうのに
オプションのオンデマンド動画配信が便利
毛利-最後に、これは有料オプションとなりますが、オンデマンドでの動画配信サービスもご紹介します。コロナ禍で学会や研究集会のオンラインでの開催が増えたということもあり、オンデマンド動画を利用するところも増えてきています。たとえば海外ではオンデマンドしかやらないというところもありますし、国内でも、オンラインでやってそれを録画し、あとからオンデマンドで配信するというのも出てきています。オンデマンドとセットにすると、当日参加できなかった人もあとから勉強のために見ることもできますので、そういったところを活用していただくと、学会・研究集会の周知や告知にも使えるのではないかと思います。
編-スカラーズミーティング上でオンデマンド動画も見られるのですね。
毛利-はい。先日やった研究集会では、登録から受付のところもスカラーズミーティングを使っていただき、当日はZoomでオンラインで行ないました。そのZoomの録画データを簡単に編集し、それぞれの項目を分けて、それをオンデマンドで配信。動画を見ることができるのは、スカラーズミーティングに登録した人だけと限定することができます。YouTubeだとURLを知っていれば誰でも見られてしまいますが、こちらは見る人をきちんと管理できるという点で、使い勝手がいいのではないかと思っています。
編-あとからもう一度見返したいという場合なんかでも便利ですね。
毛利-そうですね、管理画面で、誰がいつ動画を見たかを確認することもできますので、教育セッションなどではかなり便利なのではないかと思います。ミーティングの設定も含めてこちらでサポートすることが可能ですので、ぜひお気軽にお声がけいただければと思います。
編―これはぜひ、まずはいろいろな方に使ってみてほしいですね。本日はありがとうございました。