筑波大学体育系の浅井武先生にインタビューをさせていただきました。スポーツ流体工学、スポーツコーチングといった分野の論文を執筆されています。スポーツマンそのものといったご風貌から出てくる闊達なお言葉と明るい笑顔が、部屋を彩るカラフルなサッカーボールよりも辺りを明るくしていました。
※聞き手 岡本麻子、河野有紀(カクタス・コミュニケーションズ株式会社)インタビュー実施日: 2019年11月7日 (以下、本文敬称略/肩書、ご所属等はインタビュー当時のものです)
見かけも悪いし、まとまってない研究多いんだけど。狙いとしては、瓢箪から駒作戦です。どんな駒が出てくるのか楽しみですよ。
―――ご専門についてお伺いします。サッカーの科学的なコーチングというと、ゲームやトレーニングのためのメンタルコントロールについてのコーチングなのでしょうか。
(浅井) そういう心理的なところは、学生の研究ではやります。院生がアンケートを行ったり、ストレス測ったりしてコンディションを見ながらパフォーマンスを測ったり。僕自身は、人間の動きとか、テクニックとか、ボールとか用具の研究が中心です。
―――先生は、サッカー球技をするほうがきっかけで研究に入られたんですか。
(浅井) そうですね、それが次第に研究にシフトしていきました。それで研究室に入って、分析などで何かちょっとでもうまい方法ないかなって試行錯誤するうちに、いろんな人から質問を受けるようになったり、紹介が来たりして。じゃあもうちょっと調べなきゃって、自分の守備範囲が広がっていった感じです。そうすると企業も、一緒にこういうのやりませんかと来て、またやることが増えて。
―――そうして専門性を高めていかれたのですね。もはやこの道といえば先生というほどに。
(浅井) そんなことはないけど、結構幅広くなっちゃいましたね。今は学生がやりたいことをサポートする感じです
―――論文執筆についてですが、先生が今までメインとして携わられたもののほかに、共著もいっぱいありますね。範囲の広さに驚きました。
(浅井) 先生の専門性を中心に院生に割り当てて、とにかく大量の論文を量産するような研究室もあります。多分効率もいいし、レベルの高いものができやすいと思うけど、うちはどちらかというと学生に任せて、自由な発想を尊重しています。
―――その中にダイヤの原石がいっぱいあって。
(浅井) 見かけも悪いし、まとまってない研究多いんだけど。狙いとしては、瓢箪から駒作戦です。どんな駒が出てくるのか楽しみですよ。
―――論文を学生さんたちに書いてもらうのに、1番大変なことはどういったことですか。
(浅井) いろいろあるけど、院生が書き慣れてないっていう部分ですね。単に結果の羅列だったり。ストーリーが全然なくて、やったこといっぱい書いて、頑張ってますみたいな。その辺りがなかなか難しい。
―――そうですよね。そもそも論文に取り組むって、途方もない労力ですし。経験が必要です。
(浅井) 今、若手の研修で1番大事なのが、論文の中身でもアブストラクトでもなくて、最初のカバーレター。それ書けないとエディターにキックされるから。
―――印象は大事ですね。弊社に預けてくださる原稿は、どういった基準でお選びになっていらっしゃいますか。
(浅井) 英文で出すんだったら、これは根本的な英語ブラッシュアップが必要だなと思うものですね。文調が整っていないとか。
―――なるほど。確かに句読点のバランスやピッチで、全然違ってきますよね。
(浅井) 読みやすさとか、トーンの一定とか。あと、分野によっても、砂を噛むような文章が好きな領域と、文学的とはいわないにしても、テイストのある文章を入れるような領域とかあるけど、そういうところも院生はまだ慣れていなくてよく分かっていないから。
院生に任せてたらいつごろ出来る?なんてこともあるけど、エディテージに任せればある程度は保証される。
―――弊社に翻訳をご依頼いただく際は、学生さんの論文でご利用されることが多いですか?
(浅井) そうですね、学生の論文が多いです。自分が作業したら時間がかかるし、同じような表現に偏りがちですし。そうすると、それを見直すのにまた時間がかかる。なまじ今までの知識が若干あって、これはwouldがいいのかcouldがいいのかwillがいいのか、自分が言いたい曖昧さを探すのに30分も1時間もかかってたら、全然進めない。そういうところはエディテージに任せて、それから自分がチェックしたほうがいい。
―――エディテージのようなサービスをご利用いただくことの良さって、例えばある程度周知になってることについて述べるときじゃないかなと思うんです。みんないろんな表現で言い尽くされていますから。こう言い変えたらいいとか、その辺りはいかがですか。
(浅井) そういうところもチェックしてくれるとうれしい。自分がプロシーディングに書いたものを論文に書くと、お前これプロシーディングに載ってるぞ、一緒だぞって指摘されてしまう。ジャーナルは厳しいです。
―――やっぱりそうなんですか。
(浅井) そしたら図まで書き変えるのかって。それは自分が書いたんから、同じに決まってるだろうって。図を書き変えるのってすごい大変です。
―――大変ですね。
(浅井) 自分で前の論文やデータを否定することはできないし。ジャーナルでもエディターからお前コンクルージョンが一緒だぞとか言ってきたりとか。本当に苦労します。とりわけ学生たちは体育系だから、外で運動するのは慣れてるけど、論文を書くことにはやはり慣れていないから。
―――さっきもすごく元気そうに運動されてる方、見ました。
(浅井) 体育系だから、外に行って練習するのは善だから。その合間に論文を書かないといけない。
―――両方やらなきゃいけないってのは辛そうです。
(浅井) それもあってエディテージに助けてもらってるなあ。英文に関する論文作成の効率がいいっていうのがあるけど、時間の節約にもなるのもあるよね。院生に任せてたらいつごろ出来る?なんてこともあるけど、エディテージに任せればある程度は保証される。
―――そうですね。ある程度予測された時間内でできます。
(浅井) インド(エディテージの本社はインド・ムンバイに所在します)は土曜も仕事してるみたいだし。
―――土曜日に論文を書かれる方にもご対応できるよう、態勢を整えています。また本社のあるインドとは3時間半の時差がありますので、その時差も利用して出来る限り多くのお客様にご対応できるよう努めています。
(浅井) 院生が来なくて、学生が練習とかしてるときでも仕事してくれると、ありがたみが増して、よしよしみたいな。
―――そうすると納品のスピードはご満足いただけていますか。
(浅井) そうですね。お急ぎ便、あれもいいですね。自分はあまり使わないけど、学生が持ってくるのが遅いとき。そういうときに頼んでいます。ある程度決まった時間で、それなりのクオリティで出てくるし、ありがたい。
好奇心。ベースは好奇心。
―――先生、これからご自身の研究としては、こういうのを論文書きたいとか、研究をしたいとか、その辺りはいかがですか。
(浅井) 体育系の論文もいいけど、ちょっとほかの世界も興味本位で見てみたい。普通の運動力学とか、スポーツなんだけどもっとフルード・メカニクス寄りのところで、どんな意見がもらえるのか、ジャーナルに投稿してみたいとは思ってるけど、なかなか上手くいかない。コミュニティに家風とか作法があって、それを知らないから、蹴られるのが結構。でも体育以外のところもみてみたいなと。そういう好奇心。ベースは好奇心。
―――やっぱり研究者ならではですね。
(浅井) そんなことないですよ。体育のみに固執しててもしょうがないから。こう書けばきっと審査員が喜ぶとか、ポイントが高くなるって分かるけど,それをやる自分が嫌なの。それに体育村のいろんなことはみたけども、ほかの部分には、物理とか流体とか、そういうことは分からない。勉強はするけど、そこの常識がまだ十分分かってなかったりして。そういうとき、エディテージがあって助かる。
―――弊社では翻訳だけではなく、ジャーナルに投稿するためのサポートもあります。研究データとご意向や、すでにある原稿をいただければ、執筆まで代行できます。
(浅井) それやってほしい。自分にぴったりだ!(笑)。
―――他にも人気のサービスで、ジャーナル選択というものがあります。お預かりした原稿を弊社専門家が研究の内容まで踏み込んで精査し、査読を受けられるうえで最も適切と思われるジャーナルを選定して提案します。
(浅井) そういうの自分に向いてる。
―――仮に一誌にリジェクトされても、そのリストをもとに別のジャーナルへの投稿を検討する。そうやって可能性を広げることができます。
(浅井) 挑戦して1回挫折してる論文とかあるから、そういうのにもぜひ。いいよね。
―――先生が弊社を初めてご利用されたきっかけは?
(浅井) 以前に何社かに見積もりを依頼したら、値段が比較的リーズナブルだったから。実際にお願いしたらそれなりにコストパフォーマンスもよかったから、エディテージユーザーに、だんだん気がついたらヘビーユーザーに。うちの研究室ではまずエディテージさんにお願いして、形つくってというのが基本になっています。コストパフォーマンスがいい感じする。
―――自画自賛ですけど、いいと信じてます。逆に、サービスで改善点などのご要望がありましたらお伺いしたいのですが、いかがですか。
(浅井) レビュアーの人にも読んでほしいから、論文調の文章にトーンを合わせてほしい。口語調じゃなくて、古典的じゃない今風のちょっとこなれたフォーマルな英語調に。そういうのも踏まえて、とにかく分かりやすい英文というあたりにトーンを整えてもらって、学生の論文を直してもらえるとすごい助かる。アクセプトの確率が俄然上がるから。
―――なるほど、分かりやすい英文のトーンですか。
(浅井) 英語のあんまり難しい表現は、今流行ってない。あまり難しい言い回しはいけないけど、論文調の文章のフォーマルな表現ってある。そういうのをやってくれるとすごいありがたいっていうのが1つ。
―――承りました。 他には何かございますか?
(浅井) レビュアーから戻ってくるコメントに対応した手直しが大変で。それだけで半年1年と時間が経っちゃう。レビュアーズコメントに対して、相手の行間を見つつ、感情を読みつつ、返信を書くのが、また論文書くのと同じぐらい苦戦する。
―――弊社サービスで「査読コメント対策サービス」がありますが、とても人気があります。言語レベルの英文チェックだけで無く、著者が準備した査読者への回答と修正論文を、査読者からのフィードバックと比較して、要求通りの修正ができているかも確認します。
(浅井) そういうの絶対やってくれるとうれしい。
―――お任せてください!
英会話は良いけど論文はちょっと厳しい、となるとやっぱり専門の会社に頼んだほうがいいなって話になる。
(浅井) 学生でも、イギリスなどの欧米の大学4年間行って卒業してきたという人も時々いるんです。英語で雑談とかしたり、お客さんと会話したり、紹介したりというのもちろん上手にできるんだけど、でも論文を書くとなると、論文のレベルには厳しいなということもあります。ちょっと口語調で。
――― ちょっと違うんですよね。
(浅井) 違うんだよね。そこがなかなか分かってもらえない。
――― 難しいところです。
(浅井) 英会話は良いけど論文はちょっと厳しい、となるとやっぱり専門の会社に頼んだほうがいいなって話になる。みんな、あの人はイギリスの大学に4年いたからって、論文を書いたとき校正してもらおうとする。そうすると、やっぱり論文調になりきれてない。それならエディテージに頼んだほうが早いってなる。
――― そうおっしゃっていただけると本当に有難いです。それにしても先生、先生というお立場と、研究者との両立と、本当に大変ですよね。
(浅井) だからものすごく助かってる、うちとしては。
――― これからもご要望がありましたら、何なりと仰ってください! 改善のヒントにさせていただきます。本日は貴重なお時間をありがとうございました。