研究者のためのAI英文校正・翻訳ツールとして注目度が高まってきているPaperpal(ペーパーパル)。そのPaperpalをいち早く利用して論文執筆・投稿にチャレンジしているのが《あさひ病院 リハビリテーション科》の竹中裕人先生です。Paperpalを利用した背景や、実際に使ってみた感想、おすすめの利用法など、詳しくお話をうかがいました。
竹中裕人先生プロフィール
Hiroto Takenaka
理学療法士、博士(リハビリテーション療法学)、公認心理師
国立病院機構東名古屋病院リハビリテーション学院 理学療法学専攻卒業(2006)、名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業(2008)、同年、あさひ病院リハビリテーション科入職。
理学療法士として臨床業務を行いながら、名古屋大学大学院…修了(2015、心理学修士)、同大学…修了(2020、リハビリテーション療法学博士)。リハビリテーション、臨床研究、心理学を活かして社会貢献を目指している。
https://researchmap.jp/hiroto.takenaka
Paperpalを使って、その便利さに感動!
竹中先生がいち早くPaperpalを使い、「Paperpalが便利すぎる」とコメントしてくださったのをTwitterで拝見しました。社内のPaperpal開発チームにも先生のコメントを共有したところ、とても喜んでいました。そこで、早速先生にご連絡して、具体的にPaperpalのどんなところが気に入ったかをお伺いしたく、ご連絡しました。今日はよろしくお願いします。
竹中 はい、よろしくお願いします。私はリハビリの仕事をしており、医師ではなく理学療法士というコメディカルの立場で論文を書いています。初めて論文投稿した時からエディテージさんにお世話になっていますが、きっかけは研究者である妻からの「エディテージがいいよ」という情報でした。これまでで5本くらい、エディテージさんにお世話になって論文が掲載されています。
そうでしたか。ありがとうございます!
竹中 ただ、ある程度研究費をいただけるとエディテージにも出しやすいのですが、そうでないときは金銭的負担が…。僕は普段は臨床の現場にいて、大学の研究員という立場ではあるものの、教授や助教といった形で籍があるわけではないので、科研費に申請できないんですね。一般の研究費も、申請してもなかなか通らない。そんなときエディテージがPaperpalというAI英文校正ツールをリリースしたと知って、早速無料版を使ってみることにしたというわけです。実際に、今回は英文校正サービスを利用せずに、Paperpalだけ使って論文を執筆して論文投稿までしてみました。まだジャーナルから返事は来ていないのですが、これでアクセプトされたらいいなと思っています。
それは興味深いです。ぜひ詳しくお話をうかがいたいですね。まずは、今回PaperpalについてのTweetをしていただいたきっかけはなんでしょうか?
https://t.co/ofYrDmle7s
— 竹中裕人@理学療法士・臨床研究・公認心理師 (@1984takechan) January 31, 2023
この英文校正サイト便利すぎます…
Editageの会社なんですね…
竹中 最初はどなたかがTwitterでPaperpalを紹介しているのを見て、早速使ってみました。確か今年の1~2月だったと思います。今回書いた論文は、過去にエディテージを使ったときと同じような系統の論文をベースにちょっと言い回しを変えるとか、解析の仕方が少し違ったりする程度でした。そんな時に便利すぎるPaperpalに出会ったので、「それなら思い切ってPaperpalだけで投稿してみよう」という、自分なりのチャレンジをしてみました。
PaperpalはWordアドインが便利! 言い回しなどの提案もしっくりきます
こういうチャレンジをしていただける方がいらっしゃると、とてもうれしいです。竹中先生は、今まで他のAI英文校正や翻訳ツールを使われたことはあるのでしょうか?
竹中 DeepLとGrammarlyを使ったことがありました。比較すると、PaperpalはWordにアドインされていてすごく扱いやすいと思ったのと、英訳、特に英語の言い回しなどの感じがGrammarlyよりもしっくりきたという印象があります。エディテージの校正者に直してもらった時の英語と似ている感じがします。
お気づきいただき、うれしいです。Paperpalはエディテージで20年以上蓄積してきた学術論文の校正データを学習させたAIを活用していますので、人間の校正者に近く、学術論文に強い自動校正を実現しています。そこが先生のご要望にお応えできた理由ではないかと思います。Paperpalには、Wordアドインで使える「Word版」と、オンラインで利用できる「Web版」がありますが、先生が使われたのはWord版ですか?
竹中 はい、Wordを開いてPaperpalを起動させ、どんどん書きながらPaperpalの提案を確認していくといった使い方でやっています。真っさらな日本語から英語にするときはDeepLを使うのですが、そこから英語を推敲するときはPaperpalのほうがしっくり来ます。Grammarlyよりもいいなと思いました。
今回Paperpalを使ってみて、先生が特に気に入った部分はどこですか?
竹中 やはり、提案される英語の内容が良かったというのが1番ですね。それと、Wordで作業しながら横に提案が出てくるというのがすごくやりやすかったです。他の翻訳サービスなどでも、パソコンのモニターがもうひとつあって、並べて表示できる環境が整っていればいいかもしれませんが、Paperpalは普通のノートパソコン1台でWordだけで完結できるというのが、僕にとってはすごく良かったです。
もっとこんな機能があったらいいのにというようなご要望はありますか?
竹中 いや、僕はもうあれで十分だと思います。すごく助かりました。この感動を世の中に伝えたいと思い、思わずTweetしたというような感じです(笑)。
インラインで翻訳できる便利な機能も登場!
今うかがったお話だと、先生が実際に書かれる時は、日本語で最初書かれたものをDeepLにかけて、その最終的なチェックとしてPaperpalを使われるということですよね。
竹中 そうですね。DeepLでやって、そこから自分の今までの知識や、先行研究の言い回しとかを見ながら、これがいい、あれがいいとやって、最後の確認という時にPaperpalを使うという感じですね。
なるほど、今のPaperpalは、翻訳もインラインでやる機能があるのですが、それはご利用されましたか?
竹中 いや、その機能は使っていないですね。
Wordアドインで入力されていて、「この英語が思いつかない」というときに間に日本語を入れてしまってもOKで、そうすると右に「こういうことを言いたいのですか?」という英語の提案が出ます。実は裏にDeepLをかましていて、文章の提案が出るという仕組みになっています。この1~2か月で新たに加わった機能なので、先生が利用されていた1~2月にはまだなかったのかもしれません。
竹中 ますます便利になりましたね。
私たちとしては、書いている時の日本語と英語の思考の行き来の自由度上げたいというのがあって、日本人の利用者が複数のツールを使わなくても済むというのがポイントかと思っています。
竹中 それは素晴らしいと思います。僕は英語脳が弱いので、まず日本語脳でしっかりとした文章を書いてから英語にしたい派です。今おっしゃった機能があるとすごく助かりそうですね。
論文の領域によってPaperpalとエディテージをうまく使い分けていきたい
Paperpalにご満足いただけているようでとてもうれしいです。今後は英文校正サービスは使わずに、Paperpalで論文投稿をしていこうとお考えですか?
竹中 そうですね。ただ、新しい領域に関する論文については、エディテージの英文校正サービスにお世話になろうと思っています。例えば、脊椎外科の領域の論文を書く時はだいたい同じ感じの書き回しを使うので、Paperpalだけで書けると思います。整形外科で股関節や膝など、以前に経験のない他の病気の研究を新しく立ち上げる際には、論文がまたちょっと違う言い回しになるので、そういう時はエディテージを利用したいですね。そして、その領域の英語表現に慣れてきたら、またPaperpalに戻る…という感じでしょうか、すいません(笑)
いえいえ(笑)、私たちもエディテージとPaperpalを用途に応じてうまく使い分けていただければと思っています。ちなみに、現在、Paperpalの無料版は1ヶ月間で500提案まで無料で、翌月にまた500提案分チャージされるというパッケージなんです。1ヶ月以内に500提案を使い切ってしまう場合は有料パッケージをお勧めしています。先生が論文1本を書かれたときは、無料版の上限におさまりましたか?
竹中 上限があるのは知りませんでしたね。でも、前回書いた論文は3,000ワードか4,000ワードくらいだったのですが、無料版で全然問題なかったですね。
Paperpalにより、論文を出すことがより容易に
今回投稿された論文がそのままアクセプトされるか非常に楽しみですが、Paperpalを使うことで論文投稿をしたり、頻度を増やすきっかけになると思いますか?
竹中 そうですね、僕の今の目標は年に1本論文を出すということなのですが、そもそも1年に1回にしようと思っていた理由としては、「お金がかかる」からでした。そう考えると、Paperpalを使って英文校正費用の負担がなくなれば、例えば今、データが溜まっていて解析を徐々に始めているのですが、そういったものも終わり次第すぐに投稿できるので、頻度は上がりそうですね。
研究者の皆さんがより論文を出しやすくなる環境づくりをお手伝いできるのは、私たちとしてもとてもうれしいです。
竹中 今までは、どのタイミングで研究費がもらえそうかを考えながらやっていたので、それがなくなると、論文を書く頻度は確かに上がると思います。論文を書くことのハードルが下がり、書きたいときに書いて、どんどん出せるというのは素晴らしいですね。
自分自身で完結まで持っていけるようなものはPaperpalを使い、いつもとは違う領域、例えば僕の場合は整形外科の領域で論文を出す場合は、英文校正サービスに出して校正者から「もう少しこのように書いたらいいのでは?」というようなアドバイスをいただく。そんな風に、うまく使い分けていけたらと思います。
そのように使い分けていただければ、私たちとしてもとてもうれしいです。Paperpalを今後さらに進化させ、さまざまな形で研究者の皆さんの論運執筆のサポートをしていけたらと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。
竹中先生のお話をうかがって
Paperpalをいち早くご利用いただき、論文投稿までされた竹中先生のお話は、とても参考になり、今後より多くの研究者の皆さんに利用していただくうえでのヒントもたくさんありました。また、エディテージで20年以上蓄積した学術論文の校正データを学習させたAIならではの校正の良さを感じていただけたことも、とてもうれしかったです。
Paperpalには「Word版」と「Web版」があり、どちらも無料でご利用いただくことができます。ぜひこの記事をお読みの研究者の皆さんにもお試しいただき、その使いやすさや校正の質の高さを実感していただけたらと思います。