自治医科大学附属さいたま医療センターご所属される柏浦正広先生にインタビューをさせていただきました。救急専門医として臨床の現場に従事しながら、救急医療における「Hybrid ER」の有用性について研究されています。今後は研究者として、積極的に学術的な活動を増やして行きたいという柏浦先生。忙しい合間を縫ってインタビューにご協力いただきました。
※聞き手 近田レイラ(カクタスコミュニケーションズ株式会社)インタビュー実施日:2018年8月29日
(以下、本文敬称略/肩書、ご所属はインタビュー当時のものです)
原稿によって英文校正サービスの使い分けをしています。
――― 宜しくお願い致します。早速ですが、柏浦先生が最初にエディテージをご利用いただいたきっかけは覚えていらっしゃいますか?
(柏浦) 最初は和文誌の英語抄録に英文校正の証明書が必要だったため当時の上司に相談したところ、その上司の先生がエディテージを使われていたので、そのままエディテージを使うことになりました。
―――ありがとうございます。そこからもう6年ぐらい継続してご利用いただいているということですか?
(柏浦)そうですね。自分が利用したことがあるのは英文校正サービスだけですが、共著者の先生のジャーナル投稿用論文の作成には、英訳も含めたパックの論文投稿支援サービスを使用したこともあります
―――柏浦先生にはスタンダード英文校正、プレミアム英文校正と、プレミアム英文校正プラス*と、全部の英文校正サービスをお使いいただいておりますね。原稿によって使い分けをされているのですか?*2018年12月にプレミアム英文校正に統合されました。
(柏浦)原著論文や症例報告の場合はプレミアム英文校正プラスを使わせていただいます。あとは和文誌の英語抄録や、clinical image(臨床写真)と呼ばれる患者さんの写真や検査の写真で興味深いものを400語ぐらいの英文とともに投稿するものがあり査読も比較的短く終わるので、スタンダード英文校正やプレミアム英文校正を使用しています。ただ最近はほとんどプレミアム英文校正プラスを使わせていただいていますね。
一回の論文につき4、5回ぐらいは再校正を頼んでいます。
―――プレミアム英文校正プラスが昨年リニューアルしたことはご存知でしたか?
(柏浦)はい、知っています。今まではリジェクトされて、他の雑誌に投稿するためにフォーマット調整をする場合は別料金だったんですよね?
―――そうです。フォーマット調整にはプラスで4500円の料金がかかりました。
(柏浦)以前は自分でフォーマットを直して、また別の査読付きジャーナルに再投稿するか、フォーマットが同じ出版系列のジャーナルに論文を投稿してました。それが今ではフォーマット調整も追加料金なしになり、すごく楽になりましたし、別のジャーナルの投稿にも挑戦しやすくなったと思っています。
―――プレミアム英文校正プラスのメリットを最大限にご活用いただき、ありがとうございます。
(柏浦)本当に活用させていただいています。
―――フォーマット調整の他に査読コメント対策と、365日無料再校正サービスがございます。そのあたりのオプションについてはいかがでしょうか。
(柏浦)再校正の追加料金がないのは本当にありがたいですね。基本的に1人で論文を書くことはなく、論文を上司や同僚などの共著者に見てもらうときに、英文の文法や語彙のところで煩わせたくありません。最初の段階でエディテージに英文校正を依頼して、共著者のコメントに合わせて修正し再校正を依頼して投稿します。ジャーナルに投稿した際には査読に応じて再校正が必要になります。おそらく自分は一回の論文につき4、5回ぐらいは再校正を頼んでいます。そうなるとスタンダード英文校正では再校正に追加料金がかかるので、プレミアム英文校正やプレミアム英文校正プラスを利用しています。非常に助かっています。
―――ありがとうございます。
(柏浦)自分の場合は臨床研究の原著論文以外に症例報告や、先ほどもお話したclinical imageや、他の研究に対するletterなど様々なタイプの報告をしています。その度にエディテージさんに英文チェックをお願いしています。
臨床疑問を解決したい、またできるだけ外に発信できればと考えるようになりました。
―――先生は現在はほとんど救急の臨床の現場にいらっしゃるのでしょうか。
(柏浦)メインは臨床業務を行っています。ただ大学の附属病院ですので、研究を行う機会は多いです。ただ、研究に常時従事しているわけではないので、臨床業務の合間に研究しているような状況ですね。
―――自治医科大学の救命救急医療センターにはいつからいらっしゃいますか?
(柏浦)もともと4年間、自治医科大学附属さいたま医療センターで初期研修や救急科後期研修を行い、その後に都内の救急救命センターに7年間勤めました。集中治療などの重症患者管理も学んで、2017年4月に自治医科大学附属さいたま医療センターに戻ってきました。
―――救急医学の分野に進まれたきっかけについて、お聞かせいただけますか。
(柏浦)研修医になったとき、当初は消化器外科などの外科系分野に進もうと思っていました。2年間の初期臨床研修をやっている間に、ミーハーですけど、ちょうどその頃に…。
―――『コードブルー』ですか?
(柏浦)はい。『コードブルー』がやっていたのもあったりとか。もちろんそれだけではなく、研修中に様々な疾患を診たいという思いが出てきました。そうすると内科系でも外科系も関係なく診ることができるので救急に進むことにしました。初期臨床研修2年で終わるので、3年目から救急科を専攻しました。
―――内科・外科と本当に多岐にわたる過酷な現場にいらっしゃると思いますが、実際の現場は、いかがでしょうか。
(柏浦)やはり様々な知識も必要ですし、日々解決できない臨床疑問にあたることも多くありました。6年前ぐらいから臨床疑問を解決したい、またできるだけ外に発信できればと考えるようになりました。そこで症例報告や臨床研究を書き始めるようになりました。また和文誌よりも英文誌の投稿を目指し、そこから英語での論文執筆を始めました。ただ当初は臨床研究の進め方も分からなかったので京都大学医学研究科社会健康医学系専攻のオンラインの講座(MCR extension)を受講しWebディスカッションや年2回の京都でのワークショップを通して臨床研究のリテラシーを学びました。
Hybrid ERを使用した初期診療の有用性を証明しようとしています。
―――そこから本格的に研究を始めたということですね。現在、特に取り組んでいるテーマついて教えていただけますか?
(柏浦)今までの研究内容としては、主に院外心停止の臨床研究を行っています。心停止の研究に関連して体外式膜型人工肺(ECMO)という体外循環装置を使った心肺蘇生や、循環不全・呼吸不全の患者さんの治療の研究を主に行っています。今後のテーマとしては、「Hybrid ER」の有用性の研究を進めていますHybrid ERとは、患者さんが移動せずに必要な処置を1ヵ所で行うことができる、全く新しいタイプの救急初療室のことです。初療室にCT撮影装置やX線透視装置を備えているので、救急患者さんを移動させることなく、迅速に検査や処置にあたることができます。まだ導入している施設は少ないですね。
―――導入への1番のハードルは何でしょうか?
(柏浦)場所と費用の確保の問題でしょうか。自治医科大学附属さいたま医療センターには2016年に導入されました。救急診療は各病院や施設によって形態が多種多様です。救急搬送された患者さんの初期診療だけでなく、そのまま入院治療にあたることも多いです。ただ、病院によってどの専門医がいるかも違うので、本当に施設や病院によって様々な課題があります。
―――症状によって、専門の医師との連携は必ず必要ですよね。
(柏浦)そうですね。搬送される患者さんは同じ患者さんはいないし、全く同じ症例もない。チームワークも、スピード感も大事です。難しいけれどそこが面白い、やりがいを感じるところです。このHybrid ERは外傷、つまり交通事故や墜落による怪我の診療には有用なことが報告されています。いま私が行っている研究は、内因性疾患の患者さんへの適応です。発症間もない超急性期の脳梗塞の患者さんの治療などですね。そういった症例に対しても、Hybrid ERを使用した初期診療の有用性を証明しようとしています。
―――研究者としての今後のキャリアについて、目標などをお聞かせいただけますか?
(柏浦)システマティックレビューやガイドライン作成など学術的な活動をもっと精力的に増やしたいと考えています。また学位を取りたいという思いもあります。学位論文による博士号を取りたいと考えています。臨床では日本救急医学会の救急科専門医の認定は既に頂いているのですが、その先に救急科指導医という資格があります。それを今年取得したいと考え、申請している段階です。これは私だけではないと思いますが、臨床医で研究や論文執筆に時間をしっかりと確保できる方はほとんどいないと思います。ですからエディテージのようなプロの業者に英文校正や論文投稿のサポートをお任せできるのは、時間の節約といった意味でも本当にありがたいですね。
―――ありがとうございます。まさに、臨床や研究に忙しい先生方にお役立ていただくために弊社のようなサービスがありますので。
(柏浦)もう長いこと使わせていただいていますので分かりますが、返ってきた校正原稿に対するエディターからのコメントも徐々に良くなっている気がします。レポートの星の数も増えてくると論文執筆のスキルが上がって行ってるのかなって、励みになります。あと、カバーレター作成もすごく助かっています。