学術コミュニケーションの世界では、出版社の利便性を高めるため、新しいテクノロジーをいち早く取り入れ、自動化を進めています。そこでエディテージを運営するカクタス・コミュニケーションズはこのほど、研究論文の科学的内容を評価するための自動文書評価(Automated Document Assessment)ソリューション、Adaを開始する運びとなりました。
Adaという名称は、世界初のコンピュータープログラマーとされる、バベッジの解析機関に取り組んだエイダ・ラブレス(Ada Lovelace)にちなんでいます。Adaは、読みやすさや倫理的要求事項への順守状況という側面から、投稿論文の質を自動的に評価し、出版プロセスの各段階にかかる時間と手間を節約します。従来の自動評価ツールと違って、Adaは科学的内容の評価を目的として作られており、かつてないレベルでのカスタマイゼーションを実現しています。
カクタス・コミュニケーションズのテクノロジー部門バイスプレジデントのニシェイ・シャー(Nishchay Shah)は、Adaの機能を次のように説明しています。「Ada>の仕組みはとてもシンプルです。テキストを入力情報として受け入れ、品質スコアを出力します。出版社はそれをもとに、論文を査読に回すかどうかを決めることができます。データベースやルールは、カスタマイズすることができます。つまり、特定のジャーナルや専門分野に合わせた設定が可能だということです。また、ジャーナル別、論文タイプ別、出版サイクルの段階別に評価の厳密さを変えることも可能です。Adaでは生データを取り込みむので、ファイルの種類は問いません。このため、あらゆる投稿フォーマットでの利用が可能です。AdaはAPIに依拠していて、頑健なインフラをベースとしているので、編集部で現在利用中のツールやプロセスともすぐに連係させることができます」。
Adaは言語チェックの他、倫理的事項に関する宣言についてのチェックを行えます。これはジャーナルごとに設定することができます。また、補足的な内容チェックも簡単に追加することができます。さらに、原稿が基準を満たしていない場合は、著者にフィードバックを送ることも可能です。
投稿論文と出版論文の数が急激に伸びる中、出版サイクルの短縮を目指す出版社にとって、自動化は喫緊の課題です。小規模出版社、ニッチな分野の出版社、オープンアクセス出版社は、Adaを使うことで、活動を拡大しやすくなります。Adaは、学術コミュニケーションの世界に自動化の波を起こす存在となることでしょう。
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