撤回された論文を引用しないようにするには

How to NOT cite retracted papers

2023年の論文の撤回数は過去最高となりました。今年1月、研究の誠実さを追及する探偵による暴露の直後、有名なダナ・ファーバー癌研究所は、研究者による6本の論文を撤回すると発表しました。同月、Springer Nature誌のApplied Nanoscienceは34本の論文を撤回、Cureusは56本の論文を撤回、Acta Agriculturae Scandinavica, Section B — Soil & Plant Scienceは80本の論文を撤回しました。2024年の年初の撤回論文の数々を見ると、その記録は更新されるのではないかと思われます。

論文の撤回にはデータの捏造、剽窃、その他の倫理的不正行為、重大な誤りなど、さまざまな理由があります。著者として、そのような論文を自身の研究論文に引用すると、研究論文の信頼性や信用性が損なわれることになります。あなたが使用する議論や証拠は、もはや信頼できるものではなく、あなた自身の発見を弱め、論文の正当性を損なう可能性があるのです。残念なことに、撤回された論文は、多くの場合不注意により、撤回された後もずっと引用され続けてしまいます。

研究者として、どのように論文のステータスを把握すればいいのでしょうか? また、撤回された論文を誤って引用しないようにするにはどうすればよいのでしょうか? この記事では、引用する論文が有効で、信頼でき、最新のものであるかを確認するためのガイドラインを紹介します。

引用文献を確認し、読む

論文を仕上げる前に、参考文献リスト内の各論文のステータスを確認しましょう。ある論文が、二次情報源で有効に引用されていたとしても、ごく最近になって撤回されている可能性もあります。特に古い論文は撤回されやすいので、引用元は疑ってかかるべきです。信頼できる情報源(ジャーナルや出版社のウェブサイト、書誌索引)で参考文献を照合し、情報の正確さを確認しましょう。撤回通知を注意深く読み、撤回の理由を理解し、代替研究を特定してください。

ステータスが明確になったら、論文を全文読むことを忘れずに。よくある傾向として、直接読むことなしに他の人が引用した文献を記載してしまうことがあります。引用する文献を注意深く読むことは、知的議論の完全性を保つために不可欠です。たくさん読むのが面倒な場合は、読むスケジュールを計画したり、読むべき論文を読みやすく分割したり、テキスト読み上げオプションを使って音声で聞くという手もあります。

最新情報を入手する

論文の撤回数は引き続き増加傾向にあります。このような動向を把握するためには、Retraction Watch Databaseや出版社のウェブサイトなどで、撤回に関する最新情報を定期的にチェックしましょう。研究インテグリティ(研究の健全性または公正性)の専門家や内部告発者のブログをフォローしてください。著名なものとしては、Elizabeth BikによるScience Integrity Digestや、Leonid SchneiderによるFor Better Scienceがあります。

最新の文献管理ツールを使用する

データベースと統合して引用情報を自動的に更新する文献管理ツールを使用しましょう。CrossRefのREST APIのようなツールを使うと、撤回ステータスを確認することができます。使用している文献管理ソフトに、一貫して更新される撤回データベースが含まれていることを確認してください。EndNoteやZoteroなど一部の文献管理ソフトには、Retraction Watch Databaseのデータが統合されており、文献リストに撤回アラートが表示されます。Zoteroでは、参考文献リスト内の撤回された文献に関するアラートが表示されます。一方、Retraction Watch Database以外のデータソースを使用するScite.aiには、参考文献リスト内にある係争中の論文や撤回された論文をチェックできる参考文献チェック機能があります。より広い範囲をカバーし、問題のある文献を効率よくピックアップするためには、さまざまなツールを使い分けることをおすすめします。

必要に応じて撤回声明も含める

撤回論文について書いていて、論旨を明確にするために撤回論文を引用する必要がある場合はどうすればよいでしょうか? 撤回された論文に関連する研究について論じる場合、読者が撤回ステータスを認識できるように、参考文献リストの欄に「撤回済み」と明記する必要があります。撤回された論文を引用する場合は、「Author AA, et al: 論文のタイトル。雑誌名[年]、巻、頁」と参考文献リストに記載します。撤回された論文の識別と取り扱いについては、出版社やジャーナルが提供するガイドラインを遵守してください。

チーム内で引用の実践についての認識を高める

可能であれば、撤回論文の意味や、撤回論文の引用を避ける方法に関する研修や教育リソースを活用しましょう。施設の図書館員と協力して、撤回や適切な引用の実践についての情報を入手してください。研究チーム内で、撤回論文のチェックの重要性についてオープンに話し合い、意識する文化を構築します。

これらの戦略を取り入れることで、撤回された文献の誤りや不正行為が永続するのを防ぎながら、科学文献の信頼性と信頼性の向上に貢献できます。

まとめ

撤回された論文の引用は、研究者としての信頼性を損ない、研究の正当性に影響を与える可能性があります。撤回された論文の引用を避けるための用心深いアプローチは、学術的言説の完全性を守り、学術研究の信頼性を維持するのに役立ちます。撤回論文の情報を常に入手し、出典を入念に確認し、学術コミュニティで責任ある引用を実践することで、学術の厳格さと倫理的な学問の原則を守ることができます。

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この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

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