研究者はソーシャルメディアの変化に対応すべきか?

Should researchers adapt to changes in social media

変化するソーシャルメディア環境に対応する方法:パート1 

研究者であれば、ソーシャルメディア上で存在感を持っているか、少なくとも専門的なアカウントを維持することの価値をある程度認識していることでしょう。ソーシャルメディアは、研究者がつながり、協力し、研究を広め、各分野の最新動向を把握することを可能にします。しかし、利用可能な選択肢が多いために選択することが困難ということであれば、ソーシャルメディアの環境が突然変化した今、それはさらに複雑になっています。何が変わったのか、どうすればこれらの動きに対応できるのかを見てみましょう。 

ここ数年の変化 

初期の頃、Twitterは多くの研究者が選ぶソーシャルメディア・プラットフォームでした。文字数制限があり、科学的発見の多くの重要なニュアンスを伝えるのが難しかったにもかかわらず、Twitterは研究者にとって貴重なプラットフォームとして機能していました。短文形式と会話調のトーンは、研究のハイライトを共有し、学際的な議論を巻き起こし、最新の知見を保つのに最適だったのです。長い文章や動画を必要とせず、素早く簡単に投稿することができました。 

#ResearchHighlightや#AcademicTwitterといったハッシュタグは、#ChemTwitterや#Genomicsといった専門分野別のタグ、#BlackInTheIvoryや#WomeninSTEMといった包括性を強調するタグとともに、研究者がグローバルにつながり、多様性を促進し、最新の発見を常に把握する上で極めて重要な役割を果たしました。Twitterの魅力は、そのアクセスのしやすさにありました。誰でも参加でき、科学的コミュニケーションを一般化し、学術界と一般社会とのギャップを埋めることができました。 

しかし、 Twitter が X に変わったとき、状況は変わりました。モデレーションの縮小、有料投稿の巧妙な宣伝、青いチェックマークの購入オプションなどの変更により、かつては信頼されていたこのプラットフォームの情報源の検証が危うくなりました。情報の信憑性や、非科学的・疑似科学的な意見が増大することへの懸念が科学コミュニティに浸透しました。さらに、研究者を狙った悪用、荒らし、個人攻撃が増加したことから、Xのネットワークから科学者が大量に流出したのです。 

とはいえ、劇的に変化したのはTwitterだけではありません。多くのソーシャルメディア・プラットフォームのペルソナは、コンテンツ共有から「影響力」と「マーケティング」へとシフトしました。かつては家族や友人、同僚、そして社会全体と個人的なストーリーを共有する場であったソーシャルメディア・プラットフォームは、大きな変化を遂げています。アルゴリズムは、「インフルエンサー」や「コンテンツ・クリエイター」のコンテンツを前面に押し出すことに成功しました。金銭的なインセンティブが重要な役割を果たしたのです。コンテンツの爆発的な増加の中で、古き良き声はかき消されました。民間団体が支援するソーシャルメディアは今や「ソーシャル」ではなく、「エンターテインメント」に重点を置いています。 

このような流れを考えるとXを利用している多くの研究者の方は、「これからどうすればいいのか」と疑問に思うかもしれません。実際、現状を考えると、効果的なネットワーキングに時間と労力を費やすことに意味があるのか、と言う疑問が沸いてきます。もしあるのだとしたら、どうするべきで、また他の人たちはどうしているのでしょうか? 

Xを離れた科学者たちは、Mastodon、BlueSky、Hive、Threadsといったプラットフォームを探求し始めました。Nature誌が研究者らにXを離れた後の行き先を尋ねたところ、トップは Mastodonでした。LinkedInが僅差で続き、MetaのInstagramとThreadsがそれに続いています。MastodonがNo.1の選択肢であることは明らかですが、MastodonはTwitterのコピーではありません。使いこなすのはかなり難しいのです。 

まず、Mastodonを始めるには特定のサーバー(インスタンス)に参加する必要がありますが、数あるサーバーの中から自分に合った場所を見つけるのが難しいです。何千ものインスタンスが存在し、すべてが誰でも歓迎されるわけではありません。全体的な体験はTwitterとは大きく異なります。より大きなハードルは、Twitterの習慣を捨て、Mastodon独自のつながり方を受け入れることでしょう。それでも多くの人は、Mastodonに取り組む価値があると言います。それでいいのでしょうか? 誰もがMastodonに向かうべきなのでしょうか? それとも、ソーシャルメディアを完全にやめるべきでしょうか? 

断片化されたソーシャルメディアの状況をナビゲートする 

ソーシャルメディアは完全に死んだわけではありません。多くの人がソーシャルメディアへの投稿をやめたとはいえ、コンテンツの消費量は減っておらず、世界の人口の約60%は、依然としてソーシャルメディアを利用しています。このエコシステムを利用しない手はないでしょう。 

では、どのプラットフォームがベストなのでしょうか? 研究者にとって効果的なソーシャルメディア活用とは、「正しい」プラットフォームを選ぶことではなく、目標と対象者をプラットフォームの強みに合わせることが重要です。ResearchGateで学術的な共同研究を促進するにしても、TikTokでの科学ビデオで一般の人々の関心を得るにしても、質の高いインタラクションはどのプラットフォームでも盛り上がります。 

もちろん、全世界が単一のソーシャルメディア・プラットフォーム上に存在するならば、それは素晴らしいことでしょう。でも現実は、さまざまな人々がさまざまなチャンネルで活動する、バラバラのシステムです。ですから、何から始めたらいいのかわからない人は、まずはいろいろなプラットフォームを覗いてみて、どれが自分に一番魅力的なのかを見極めることから始めるといいでしょう。 

その次に、他の人が投稿した、自分の興味を引くコンテンツにコメントしたり、交流したりしてみましょう。そして最後に、自分にこう問いかけてみましょう。自分にとって一番ふさわしいプラットフォームはどこなのか、そしてソーシャルメディアに参加することで、どのような目標を達成したいのか?更には誰と交流したいのか、と言うことです。 

次回は、これらの質問に答え、それに応じてソーシャルメディア戦略を立てる方法について詳しく説明します。 


この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

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