説得力のあるグラフィカルアブストラクトをデザインすることは、研究結果を効果的に伝えようとする研究者にとって不可欠なスキルです。グラフィカルアブストラクトは、研究の視覚的要約として機能し、主要な概念と結果を明確かつ簡潔な形式でまとめます。論文の見やすさを高めるだけでなく、読者が研究の本質を素早く把握するのにも役立ちます。
この記事では、適切なビジュアルの選択から、論文の核となるメッセージとの明瞭性や整合性の確保まで、グラフィカルアブストラクトをデザインするための基本原則を理解できるようにヒントを紹介します。初心者でも経験豊富な研究者でも、これらのグラフィカルアブストラクトのヒントは読者の心に響くビジュアルを作成するのに役立つはずですので、ぜひご覧ください。
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グラフィカルアブストラクトの作り方:グラフィカルアブストラクトの例
グラフィカルアブストラクトのヒント
- 配色:できるだけ多くの色を詰め込むのではなく、あらかじめ定義されたカラーパレットを使用します。可能であれば背景色は、テキストや画像とコントラストのある単色にします。色の変化は、単に「視覚効果」のためではなく、変化や違いを示すために慎重に使用します。
- 言語:できるだけ単語を少なくします。例えば、「increase(増加)」や「decrease(減少)」の代わりに矢印を使用します。サンプルの内訳をリストする代わりに、円グラフを使用します。
- レイアウトとサイズ:JamborとBornhäuser (2024)は、「多くのウェブサイトやアプリケーションでは、グラフィカルアブストラクトの最終的なサイズは郵便切手ほどの大きさもない」と指摘しています。 例えば、Cell Reports誌に掲載されているグラフィカルアブストラクトを見てみましょう。グラフィカルアブストラクトが興味深いものであれば、読者は画像をクリックして拡大します。画像、フォント、文字サイズなどを選ぶ際には、このことを念頭に置いてください。閲覧している読者に、形のないぼやけたものだけを見せたくはありません。
- フォントのサイズとスタイル:読みやすいフォントを選択します。セリフ体(Times New Romanなど)ではなく、サンセリフ体(ArialやAptosなど)を選びましょう。フォントサイズは十分に大きくし、スマートフォンでも拡大しなくてもグラフィカルアブストラクトを読めるようにします。
- 内容:研究全体とその結果を説明するのではなく、1~2個の主要なポイントに焦点を当てます。アブストラクトが視覚的に魅力的になるように、空白スペースを残しましょう。KrukowskiとGoldstein (2023)は、グラフィカルアブストラクトの場合、「重要な研究デザイン情報と1~3点の“take-home(読者にしっかりと持って帰ってもらう)”ポイントのみを伝える」ことを特に推奨しています。
- 配置:英語では、読者は左から右へ、そして上から下へと読み進めていきます。それに従って、グラフィカルアブストラクトの項目を配置しましょう。論理的に適切な場合(代謝経路など)には循環スキームを使用できますが、読者が左から右へ、上から下へと読み進めるようにしましょう。
- 画像:自分で作成したものでない場合は、著作権上の問題がないかを確認してください。無料のストック画像であっても、出典を明記し、報告する必要があります。すべての画像は、科学出版における画像に関する倫理的ガイドラインに従わなければなりません。
- アクセシビリティ:グラフィカルアブストラクトにalt(代替)テキストを付けることは、アクセシビリティ、特に色覚異常や視覚障害のある読者への配慮を示すことになります。目的のジャーナルにこのオプションがあるかどうかを確認してください。また、情報を伝える唯一の手段として色を使うことは避けましょう。
この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。
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