グラフィカル アブストラクトは比較的新しいものですが、ジャーナルの出版ではしばしば義務化されています。ここでは、グラフィカルアブストラクトに関するよくある質問をいくつか紹介します。
Q: 注意持続時間が短いからこそグラフィカルアブストラクトは役立つのでしょうか?
A: 注意持続時間も要因のひとつかもしれませんが、研究の普及に関しては、オープンサイエンスの実践を積極的に推進することの方が重要だと思います。
グラフィカルアブストラクトは、複雑な研究結果をわかりやすいビジュアルに簡素化して、理解、可視性、普及を促進することで、オープンサイエンスをサポートします。グラフィカルアブストラクトは、研究をより魅力的で共有しやすいものにし、専門家でない人々や国際的なコミュニティを含む幅広いオーディエンスに届けるとともに、言語の障壁を取り除きます。また、重要な洞察を強調することで、グラフィカルアブストラクトは透明性を促進し、分野を超えたコラボレーションを促します。さらには、知識の民主化というオープンサイエンスの目標に沿い、一般の人々の参加や教育的利用もサポートします。オープンライセンスの下で共有されることで、科学的研究の影響力とアクセシビリティがより高まります。
これらの要因により、最近ますます多くのジャーナルがグラフィカルアブストラクトを採用しているのではないかと思います。
Q: グラフィカルアブストラクトを作成するための最も優れたツールは何ですか?
A: とてもいい質問です。根気と決断力、デザインをする才能があれば、Adobe Illustratorに勝るものはないと思います。
PowerPointも時には有効です(勇気があれば)。
しかし、私たちがCanvaを使って素早く簡単にデザインを作るのと同じように「ドラッグ&ドロップ」で簡単にグラフィカルアブストラクトを作りたいのであれば、Mind the Graphをチェックすることをおすすめします。
Mind the Graphには、グラフィカルアブストラクトの作成プロセス全体を非常に簡単にすることを目的としたイラストの専門ライブラリがあります。Adobe Illustratorを使いこなすのが難しいという方は、ぜひチェックしてみてください。
Q:今まで見た中で最高のグラフィカルアブストラクトは何ですか?
A: ある特定のグラフィカルアブストラクトを、私が見た中で「ベスト」と分類するのが公平かどうかはわかりません。どのグラフィカルアブストラクトもそれなりにユニークですし、正直なところ、著者やジャーナル編集チームが従っているアートスタイルのおかげで素晴らしく見えるものもあります。しかし、私にとって、これまで出会った中で最も影響力のあるグラフィカルアブストラクトは、Francis Crickが1953年に初めて「二重らせん」について記述したものです。これはとても象徴的なイメージで、分子生物学が研究分野として認識される方法を変えました。とはいえ、当時はグラフィカルアブストラクトとして分類されていなかったと思いますが、研究の最も重要な側面を伝えるときにグラフィカルアブストラクトはどうあるべきかを示す最良の例のひとつです。
個人的には、最近、BMJのグラフィックチームが新しい号を出すたびに何を出してくるか楽しみにしています。彼らのグラフィカルアブストラクトは本当に素晴らしいものです。
Q:ベストプラクティスや避けるべきよくある間違いはありますか?
A: ベストプラクティスと避けるべきよくある間違いについては、こちらをおすすめします。
要約すると
- グラフィカルアブストラクトをデザインする前に、主要なメッセージを考えましょう。
- アイコンやピクトグラムは同じライブラリから使用するなど、ビジュアルの見た目を統一しましょう。
- グラフやチャートには必ず正しいラベルを付け、すべてが読みやすいようにしましょう。
- 必要に応じて、対象となる出版物のガイドラインに従いましょう。
Q: 本当に優れたグラフィカルアブストラクトを閲覧できる無料のリポジトリはありますか?
A: 残念なことに、グラフィカルアブストラクトの信頼できるリポジトリは今のところありません。しかし、こちらと、こちらと、こちらで、非常によくできたグラフィカルアブストラクトを見ることができます。
また、本ブログ内にでもグラフィカルアブストラクトのサンプルをご紹介しています。
Q: グラフィカルアブストラクトにヒートマップを入れても問題はありませんか?
A: はい、問題ありません。グラフィカルアブストラクトにヒートマップを使用した例はこちらです。
グラフィカルアブストラクトにヒートマップを含める場合は、最も関連性の高いデータのみを強調し、明確なラベル、凡例、簡単なコンテキストを提供することで、明確さとシンプルさに重点を置くことを忘れないでください。アクセシビリティを確保し、過剰なデータポイントでデザインを過密にしないために、直感的で色覚異常者にも優しいカラースケールを使用するようにしてください。
適切な解像度とフォントサイズで読みやすさを維持しながら、ヒートマップがアブストラクト全体のスタイルやレイアウトとシームレスに統合されていることを確認します。そして最後に、同僚や専門家以外の人にデザインをテストして、直感的で、意図した洞察が効果的に伝わることを確認してください。
Q: グラフィカルアブストラクトはテキストのアブストラクトと同じですか? どちらかをもう一方と置き換えることはできますか?
A: 今のところ、グラフィカルアブストラクトはテキストのアブストラクトと同等ではありません。また、学術出版が数世紀にわたって行われてきた方法を考えると、グラフィカルアブストラクトが従来のアブストラクトに取って代わるとは思えません。
グラフィカルアブストラクトは、ビジュアルアブストラクトと呼ばれることもあり、通常、投稿プロセスにおいて論文とそのアブストラクトに添付されます。ジャーナルによっては、論文が条件付きでアクセプトされた後で初めてグラフィカルアブストラクトの作成を求める場合もあれば、論文投稿時にグラフィカルアブストラクトの提出を求めるジャーナルもあります。また、研究結果が重要であると判断された場合に、グラフィカルアブストラクトを作成するジャーナルもいくつかあります。
Q:どの分野で最も多く使われていますか? また、また、すべての分野にグラフィカルアブストラクトは適していますか?
A:STEMの分野では明らかに多く使われています。しかし最近では、他の分野でもグラフィカルアブストラクトを目にするようになりました。医学の分野では、グラフィカルアブストラクト形式が特に重宝されています。また、科学分野では、新しい経路や仮説を報告しようとするあらゆる研究でグラフィカルアブストラクトが使われています。大量のデータを扱う研究であっても、査読者に研究内容を一目で理解してもらうためにグラフィカルアブストラクトが使用されています。
Q:私の知る限り、STEM分野の研究者でグラフィックが得意な人はほとんどいません。外部からの支援がなくても彼らはうまくできるのでしょうか?
A: これはあくまで私見ですが、論文の図表を自分で作成したことがあれば、グラフィカルアブストラクトも作成できると思います。もちろん、エディテージがグラフィカルアブストラクトを作成するお手伝いをすることもできますが、多くの場合、著者にそれを作成するスキルがなかったり、どのようなものが必要かというビジョンがないためではなく、著者が投稿プロセスを進めていて時間がないためです。別の見方をすれば、グラフィカルアブストラクトは必ずしも表紙画像のようなものではなく、芸術作品である必要もありません。あなたの研究について知っておくべき最も重要ないくつかの事柄を、きちんと機能的に視覚化する必要があるのです。
Q:査読者がどれほど厳しいかご存知ですよね? グラフィカルアブストラクトは文章よりも主観的であるように思えるのですが・・・
A: 私が見たところでは、査読者は実際の論文よりもグラフィカルアブストラクトをあまり気にしない傾向があります。グラフィカルアブストラクトが取り上げられるのは、よほど間違ったことや不正確なことがない限り、めったにないことです。また、グラフィカルアブストラクトが論文のアクセプト/リジェクトを左右することはありません。もしグラフィカルアブストラクトの修正が必要な場合は、その旨を伝え、次の号に論文が掲載できるように締め切りを与えるだけです。
Q: グラフィカルアブストラクトはアクセシビリティガイドラインに従っていますか?
A: グラフィカルアブストラクトをデザインする際には、アクセシビリティガイドラインを考慮し、学術的な読者以外でもできるだけ簡単に閲覧できるようにします。
Q: グラフィカルアブストラクトにおいて、シンプルさとディテールのバランスをどのようにとればいいのでしょうか?
A: いい質問ですね。その通り、バランスはとても重要です。私たちは通常、何を伝えることが最も重要だと感じているかを著者に尋ねます。第3者としてグラフィカルアブストラクトを作成する場合、著者の意見はとても重要です。
したがって、もし著者が最も重要だと感じている点を教えてくれたなら、私たちはそれを正確に視覚化し、必要な周辺のディテールを加えます。繰り返しになりますが、グラフィカルアブストラクトは、従来のアブストラクトと同様、それ自体で成り立っていなければならないということを念頭に置く必要があります。つまり、論文を読まなくても、誰でもそれを見て何が起こっているかを理解できるものでなければなりません。そのためには、ジャーナルが推奨する寸法に見やすく収まる範囲内で、十分な情報を盛り込む必要があります。
Q: グラフィカルアブストラクトには、AIに適した要素は含まれますか?
A:正直なところ、グラフィカルアブストラクトでAIに適した要素がどのようなものになるのかわかりません。論文のほとんど、またはすべてが AI だけで作成されるという未来に向けて私たちが取り返しのつかない運命をたどっていないことを心から願っています。
この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。
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