エディテージ・グラント 選考委員インタビュー④-隠岐 さや香先生

エディテージ・グラントは、自身の研究によって社会にインパクトを与えたいと願う若手研究者に、経済的支援、メンターシップ、キャリアガイドを提供することを目的とした、エディテージの若手研究者支援プログラム。その選考委員である隠岐 さや香先生に、若手研究者における研究助成の重要性やエディテージ・グラントへの想いなどをうかがいました。

隠岐 さや香
東京大学 大学院教育学研究科 総合教育科学専攻(基礎教育学コース) 教授

Subject area
人文・社会 / 科学社会学、科学技術史 / 科学思想史, 科学の社会史

Researchmap link
https://researchmap.jp/okisayaka?lang=en

研究テーマは主に高等教育・研究の社会史・知的史で、特に18世紀から20世紀にかけてのヨーロッパに焦点をあてている。最近の研究では、科学や芸術の「有用性」をめぐる哲学的言説の展開を追跡し、文系・理系を含む学問分野間の意識や文化の多様性を記述することを試みてきた。現在は、学術団体や大学などの高等教育・研究機関の社会経済史、特にその新興過程に関心を持っている。
2013年第9回日本学術振興会賞・第9回日本学士院学術奨励賞。日本学術会議連携会員。国際学術会議(ISC)科学の自由と責任常任委員会委員。

目次

自由かつ多様なチャレンジを!
分野を問わず、ファーストステップを踏みたい人を応援したい

エディテージ・グラントの応募者の多様性を意識した選考プロセスに注目

この「エディテージ・グラント」が、何かに挑戦したい若手研究者を応援するようなファンドと伺ったのと、幅広く多様な分野の審査員を集めているというところに惹かれて、審査員をお引き受けしました。また、英文校正などでよくお世話になっているエディテージの企画ということに興味もありました。

もともと、私企業による研究助成には通常の公的助成とは異なる自由さが求められると思いますが、エディテージは多国籍展開しているだけあって、選考プロセスに応募者の多様性を意識した工夫もあるなと感じています。たとえば、選考方法の中で、事前にZoomで英語インタビューの練習があるというのは面白いです。ごく個人的な関心として、私自身は英語含む多言語での研究内容発信をする若手を支援したい気持ちがあるので、その参考になりそうだなと思ってもいます。このグラントが、自由かつ多様なチャレンジを支援できる取り組みになることを期待しています。

若手研究者を育てるという気持ちで設計されているのが心強い

資金的な制約の多い若手研究者にとって、研究助成は重要だと思います。しかし、学際的な分野の若手研究者はしばしばどうやって研究助成を取ったらいいのか迷うことが多いかもしれません。私は科学史という学際的な分野なので迷いも大きく、気がつけば自分にフィットする枠を探すのに時間を費やしてしまいました。若い世代にはもっと色々な選択肢があるといいと思います。

その点、エディテージ・グラントは「〜分野」という区切りをせず、まずは応募しましょう!という雰囲気なのが心強いと思います。また、助成金というのは落とされたらそれで終わりのものも多いですが、エディテージ・グラントは一次選考を通過した応募者に特別プログラムの提供があります。若手研究者を育てるという気持ちで設計されていると感じます。

ぜひ気負わずにどんどんご応募を!

助成対象者を説明したページに「これまでに論文を投稿していない方や、資金援助を受けていない方、または2023年4月26日までの過去365日間に資金援助を受ける予定のない方が優先されます」とあります。ファーストステップを踏みたい人の方を向いた設計なので、ぜひ気負わずにどんどん応募して欲しいです。実際、これまでの助成プログラム受賞者には色々な分野の人がいるようです。「自分が挑戦して、もっと枠を広げてやる」くらいの気持ちで色々な人に応募して欲しいですね。

特に人文系の研究者として一言添えると、過去の受賞者を見て「理系のファンドかな?」と思う人はいるかもしれません。しかし、そう決まったわけでもないみたいです。実際、100万円、あるいは10万円と人文系に使いやすい規模のファンドだと思います。ぜひ分野を問わず応募して下さい。

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この記事を書いた人

エディテージはカクタス・コミュニケーションズが運営するサービスブランドです。学術論文校正・校閲、学術翻訳、論文投稿支援、テープ起こし・ナレーションといった全方位的な出版支援ソリューションを提供しています。

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