エディテージ・グラントは、自身の研究によって社会にインパクトを与えたいと願う若手研究者に、経済的支援、メンターシップ、キャリアガイドを提供することを目的とした、エディテージの若手研究者支援プログラム。その選考委員である岩崎 渉先生に、若手研究者における研究助成の重要性やエディテージ・グラントへの想いなどをうかがいました。
岩崎 渉
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 教授
Subject area
ライフサイエンス / システムゲノム科学 / バイオインフォマティクス
Researchmap link
https://researchmap.jp/iwasakiw
東京大学教授。日本学術会議若手アカデミー代表、国際情報生物学会ISCB理事。主宰している研究室では特定の生物や個別の問題にフォーカスした従来の生物学から、俯瞰的な「データサイエンス」へと変貌する生物学への大きな流れに注目している。特に、これまでアプローチできなかった非モデル生物や生命現象を自在に研究できるようになる中で、バイオインフォマティクス、理論・数理、実験、フィールドサンプリング、また他分野の技術や手法も含めたあらゆるアプローチを取り入れつつ、生命システム進化学・ゲノム進化学をはじめとする様々な問いに挑むことをミッションとしている。
若手研究者や大学院生が心置きなく研究に打ち込める体制がなければ、
日本全体の研究力が本質的に向上することはない
本グラントによる支援がインパクトの大きい研究につながっていくことに期待したい
エディテージは、英文校正などの分野で研究者・大学院生のサポートを20年以上も続けてきました。とりわけ、地理的・言語的な障壁がある日本から研究成果を発表する際に、エディテージのサポートによってこそ、より多くの方に研究成果を届けることが可能になった例がこの歴史の中でも多くあったことでしょう。その意味で、エディテージは日本の科学研究を支える大きな役割を果たしてきたのだと思います。
今回、エディテージを運営するカクタス・コミュニケーションズ社から、特にまだ実績の少ない若手研究者や大学院生向けのグラントのお話をいただき、喜んで協力させていただくことにしました。本グラントによる支援が、インパクトの大きい研究につながっていくことを期待しています。
志・アイデア・技術などに光るものがある若手研究者や大学院生に支援を
私は現在、東京大学における研究・教育に加えて、内閣府日本学術会議若手アカデミーの代表としても活動しています。そこでは、日本において若手研究者や大学院生が心置きなく研究に打ち込める体制がなければ、日本全体の研究力が本質的に向上することはない、ということを繰り返し訴えてきました。
幸い、若手研究者や大学院生を支える重要性については理解が進み、サポートも拡充されてきました。しかしながら、実績は十分ではないかもしれないが志・アイデア・技術などに光るものがある若手研究者や大学院生までに支援が十分に行き届く状態には、残念ながらなっていないと思います。エディテージ・グラントは、まさにそうした部分をサポートするものであり、意義が大きいものだと思います。
一次選考通過で提供される「若手研究者支援プログラム」にも要注目
エディテージ・グラントは研究助成金だけではなく、一次選考を通過した方には「若手研究者支援プログラム」として、大学院生や若手研究者にとって実践的に有用なサービスが提供されると聞いています。プロフェッショナルとして研究を行っていく上では、研究の専門的な内容に関する知識・技術のみならず、さまざまなノウハウを身につけることが必要ですが、そうしたノウハウを身につける機会はその多くが研究室等の内部での教育に依存しています。一次選考を通過した方には、本プログラムの特典を活用し、今後に活かしてもらえればと思います。エディテージのサービスクーポンも、研究費が潤沢にあるわけではない大学院生や若手研究者にとって、論文をより多くの方に届けたり、論文の書き方を向上させる上できっと役立つでしょう。
二次選考を通過して研究助成金を獲得された方は、その自由度を活かして、他の助成金では使いにくいような用途も含めて、研究を進める上で最も効果的な用途を吟味して使っていただきたいですね。
そして残念ながら採択に至らなかった方も、本プログラムへの応募を通じて学んだことや感じたことを、他のプログラム等への応募の際に活かしていただければと思います。
若手研究者や大学院生のみなさまの研究の発展をお祈りしています!