エディテージ・グラントは、自身の研究によって社会にインパクトを与えたいと願う若手研究者に、経済的支援、メンターシップ、キャリアガイドを提供することを目的とした、エディテージの若手研究者支援プログラムです。昨年に引き続き、エディテージ・グラント2024でも選考委員を務めていただく早野 元詞先生に、昨年の印象や、今回のグラントに期待すること、選考で注目したいポイントなどをうかがいました。
早野 元詞
慶應義塾大学医学部整形外科学教室 特任講師 / (株) 坪田ラボ CSO 、One Genomics. Inc, ファウンダーおよび (株) Flox Bio 共同創業者
Subject area
ライフサイエンス / 分子生物学 / 老化
Researchmap link
https://researchmap.jp/motoshihayaano
生命科学博士。 専門は老化、エピジェネティクス。DNA複製研究に従事し、2011年に東京大学大学院新領域創成科学研究科博士を取得。2017年に帰国し慶應義塾大学医学部にて研究室を主宰。2023年より現職。老化研究の基礎研究と、それらを活用した社会実装へ興味を持っている。
より挑戦的で、新しい視点かつ具体的なアプローチを
早野先生には前回に引き続きエディテージ・グラントの選考委員をお願いしていますが、前回のグラントを振り返って、印象に残っていることはありますか?
早野 前回のエディテージ・グラントでは、若い方の視点から新しい課題や、解決するための仮説と具体的な研究内容について、たくさんのことを学ばせていただきました。自分の研究領域とは異なる研究について審査をすることが非常に難しかったです。その中でも具体的な課題と内容、新しさ、インパクト、熱意の観点から審査させていただきました。セレモニーでも直接お話しさせていただける機会をいただけて、非常に楽しい機会となりました。
今年もグラントの募集がスタートしていますが、前回のグラントと比較して、今回のグラントでの期待や変化はありますか?
早野 より挑戦的で、新しい視点かつ具体的なアプローチを考えておられる若い方をサポートできる機会になれば、と期待しております。若い研究者を取り巻く環境は年々厳しくなり、その実情を目にする中で研究者を目指す若い人が減っています。研究は社会にとって技術を生み出すだけでなく、自分で課題を解決する能力を身につける人材を育成するという意味においても重要な役割を担っています。若手研究者を支えるエディテージ・グラントのような活動が、1人でも多くのアツい研究者を支える機会になれば嬉しいです。
「ぜひサポートしたい」と思わせてくれる研究の応募に期待
早野先生が選考で注目したいポイントや重視する要素は何ですか?
早野 審査の観点では「この研究をぜひサポートしたい」と思える課題設定、具体的な研究内容、そして新規性についてわかりやすく記載いただけるとありがたいです。エディテージ・グラントについては、失敗の可能性の高い研究や研究者としての経験を高める目的に使用していただければと考えていますので、人と全く違う、すぐに評価されない、そういった研究で予備データがなかったとしても、論理的かつ夢のある提案が寄せられることを期待しています。
最後に若手研究者の皆さんに、早野先生からメッセージをお願いできますか?
早野 研究は課題に対して仮説を考えて実際に挑戦する過程の繰り返しですが、ほとんどが失敗に終わります。時には失敗の連続で、終わりが見えない時期もあると思います。ただ、そのような過程は若い研究者にとってかけがえのない経験値となり、アカデミアではないキャリアを最終的に選択したとしてもコンパスとして支えてくれると信じています。エディテージ・グラントは使いやすく、アイデアを試す機会としては若い方にとって良いのではないかと思います。どこに住んでいるのかを含めて問わないので、気軽に夢や試したいことなどについて応募していただきたいですね。