先日、ある日本人研究者(K博士とします)に、研究論文をどのように書いているのか尋ねる機会がありました。K博士の母国語は英語ではないので、最終稿の推敲はプロの校正サービスを使用しているそうです。とは言え、論文の執筆・推敲の初期段階においても、K博士はテクノロジーと持ち前のライティングの才能を掛け合わせ、強力な科学論文を書くために積極的に取り組んでいるようです。興味深いことに、学術的な文章を書く苦しみをよく分かっているK博士は、自身のアカデミックライティングのスキルが向上した理由として、長年の経験やスマートテクノロジーだけでなく、英語での研究論文の書き方を習得するために努力を続けてきたことを挙げています。
科学論文とは?
科学論文には独自のスタイルと、関連するお決まりの慣例があります。著者は明確でシンプル、かつ直接的な表現を用いることが求められます。内容は構造化され、読者が研究の内容を理解しやすいよう、論理的な順序で段落が構成されます。冒頭のアブストラクト(要約)では、制限された語数内で研究の価値を強調し、興味を引くような内容にしなければなりません。その後の序論から結論までは、一貫して標準的な表現や所定のトーンと時制を用いて、必要な要素をすべて持ち込みます。科学論文は簡潔であるべきで、冗長さや誤りは厳禁です。フォーマルなトーンが好まれ、曖昧さのない言葉遣いが推奨されます。略語を用いる場合は、最初に定義されなくてはなりません。スタイルに一貫性がなければ、画一化する必要があります。そして他者の研究を参照するときは、引用しなければなりません。
Paperpalは、研究者がより速く、よりうまい文章を書けるよう支援するテクノロジーを目指しています。この技術が、さまざまな間違いの裏にある考え方を理解する支えとなることで、研究者の論文出版の可能性に大きな効果をもたらすことを期待しています。
Paperpalのライティングのヒントがどのように役立つか
貧弱な英語、弱い構成力、読みにくさなどが原因で論文をリジェクトされたことがあるなら、科学論文を書くスキルを向上させる必要があります。そこで私たちは、AIをベースとしたライティング支援ツールを設計する際、科学論文の質を下げ、内容の理解を妨げる一般的な英語表現の間違いについて理解できるよう、教育的なメッセージとライティングのヒントを取り入れました。
Paperpalでは最先端のAIとNLP(自然言語処理)技術に、アカデミックライティングの専門家の知能を組み合わせて、ライティングを改善するためのヒントを自動生成します。そのヒントには、短縮形や不正確な文構成(比較の間違い、無終止文、コンマ結合等)の回避や、読みやすさの向上(名詞化、対句法、冗長表現等)など、科学論文に一般的に求められるものが含まれています。
ヒントがある場合、個別に編集できるよう、提案カードに”Writing tip”が表示されます。“Writing tip”の横にある+マークをクリックするとカードが展開し、間違いに関する詳細説明を見ることができます。さらに、それらのヒントが自分の文章の他の箇所にも当てはまらないか確認することで、学びを促進し、同じ間違いを繰り返さないようになります。
興味のある方はPaperpal for WordかPaperpal for Webでライティングのヒントを活用し、科学論文の執筆スキル向上にお役立てください。