大規模言語モデル(LLM)やチャットボットが学術界で広く使われるようになって以来、多くのことが起こりました(図1)。2022年末から2023年初頭にかけて、研究者たちがChatGPTを共著者として記載した論文を発表し始めたことを覚えていますか? 少なくとも 4 つの論文が発表されました。しかし、その直後に、多くの出版社や、Committee on Publication Ethics(COPE)、World Association of Medical Editors(WAME)などの組織が、AIモデルを著者として記載することを禁止するよう、編集方針を速やかに改訂しました。Scienceは当初、AIが生成したあらゆるコンテンツを全面的に禁止するという対応をとった数少ないジャーナルのひとつでした。一方、International Committee of Medical Journal Editors(ICMJE)などの組織は、2023年5月までに、AIによる支援の開示を義務づける方向へとコンセンサスを転換させました。こうした枠組みがあるにもかかわらず、2024年の研究¹は、出版社間でポリシーが著しく分断されていることを浮き彫りにしました。

2026年8月の時点で、JAMAの改訂ガイドライン²は、一般的な開示ではなく、具体的なツール名とバージョンの明示を求めるようになりました。AIによって生成された図版などを禁止し、データプライバシーを守るため、査読者が機密性の高い原稿を外部のAIツールにアップロードすることを禁じています。この記事では、最新のガイドラインの内容と、それが多忙な医学研究者にとって何を意味するのかを詳しく見ていきます。
2023年から2026年までのAI使用に関するJAMAのポリシー
LLMの能力は急速に向上しており、それに伴う学術執筆や学術出版への影響も変化し続けています。編集者も著者も、常に最新の状況を把握しておく必要があります。高度なLLMが登場して以来、JAMA Networkは、これらの新しいツールの有用性を認めつつ科学的誠実さを守るため、編集方針を迅速に適応させてきました。この数年の間に、ガイダンスは単なるオーサーシップの禁止から、医学出版のプロセスにおいてAIをどのように、どこで使用できるかを詳細に定める包括的な枠組みへと発展しました(図2)。
2023年
2023年、JAMAは初めて生成AIに関するガイドラインを導入し、AIツールを著者として記載することを禁止するとともに、文章の推敲や技術的なツールの使用については、いかなるものであれ透明性の確保と開示を求めました³。その後このポリシーは改訂され、査読者が機密性の高い原稿をAIツールにアップロードすることが禁止されました⁴。
2024年
JAMAは、著者と研究者に向けてより詳細な推奨事項を公表し、報告と開示の要件を正式に定めました⁵。AIが科学的研究そのものの一部として使用される場合や、文章や図の生成に使用される場合について、詳細な報告ガイドラインが示されました。著者は、AIソフトウェアの名称、バージョン、開発元、使用方法を含む具体的な開示を(謝辞または方法セクションで)行うことが求められるようになりました。
2026年
JAMAは、すでに発表していたガイダンスを改訂しました。その理由は、もっともらしく見えるものの捏造された、あるいは実在しない引用を含む投稿が増えていたこと、そしてそのテーマについて十分な専門知識を持たない著者による、AIの支援を受けたオピニオン記事やレターが急増していたことを、編集者たちが目の当たりにしていたためです²。さらに、AIの使用が拡大しているにもかかわらず、開示率は低いままでした。
- 何が変わったのか? 中心的な変化は、以前は「推奨されない」とされていた、あるいは曖昧だった特定のカテゴリーが、絶対に禁止される事項になったことです。全面的な禁止の対象となったのは、参考文献・引用での使用、オピニオン系の原稿の執筆、そして臨床画像・動画・音声です。
- 何が変わっていないのか? AIの支援を受けたかどうかにかかわらず、著者はすべての内容について全面的な責任を負い続けます。

JAMAによる2026年版AIガイドラインの包括的ガイド
以下は、2026年8月に改訂されたJAMA Networkの編集方針²に基づく、認められる使用と禁止される使用の内訳です。LLMやチャットボットを共著者として記載できないという厳格なルールは引き続き維持されています。人間の著者は、AIの支援を受けたセクションを含め、投稿されたすべての内容の正確性、完全性、誠実性について全面的な責任を負わなければなりません。図3に、すべきこととしてはならないことを簡潔にまとめています。
1. 開示なしで認められる使用
元の文章が人間によって書かれたものであれば、著者は正式な開示を行うことなく、一般的な執筆ツールを使って原稿を推敲することができます。標準的な文法、構文、スペルのチェック(一般的なワープロソフトに組み込まれているものや、基本的なスペルチェックツールなど)については、原稿での開示は不要です。
2. 具体的な開示を条件に認められる使用
AIは原稿の準備や研究のさまざまな側面で役立ちますが、その使用は明示的に申告しなければならず、通常は方法セクションまたは謝辞で行います。開示には、(i) ツール名、(ii) バージョン、(iii) 開発元、(iv) AIが何を行ったかの説明を含める必要があります。
- 内容の修正と翻訳: AIを使用して文章を翻訳したり、明瞭にするために段落を書き直したり、原稿の書式を整えたりすること。
- 文献とコード: AIを使用して文献検索を行ったり、背景となる文献を要約したり、統計・解析用のコードを生成したりすること。著者は、AIが生成した要約をすべて検証し、どのコードが生成されたのかを正確に明記しなければなりません。
- 方法論としての使用: 実際の研究デザインの一部としてAIを使用すること(例:AIモデルを使用して臨床データを解析する)。これについては方法セクションで厳密に詳述し、適用されるすべての報告ガイドラインに従わなければなりません。
3. 厳格に禁止される使用
改訂されたガイドラインでは、著者が開示するつもりであるかどうかにかかわらず、JAMA Networkのすべてのジャーナルにおいて、AIの使用が全面的に禁止される明確な境界線を定めています。
- 参考文献: 不正確な引用や実在しない引用が生じるリスクが高いため、著者は参考文献リストの生成、書式設定、管理にAIを使用してはなりません。
- オピニオン原稿など: AIを使用して、オピニオン原稿、編集者宛てのレター(Letters to the Editor)、オンラインコメントを執筆することはできません。これらは、人間の著者自身による独自の知的推論を示すものでなければなりません。
- 査読者・編集者への回答書: 査読者や編集者のコメントに対する回答の作成に、AIを使用することは厳格に禁止されています。
- 査読: 査読者および編集者は、投稿された原稿の文章や図、あるいは自分自身が作成した査読の要約を、生成AIプラットフォームにアップロードすることが厳格に禁じられています。
- 臨床メディア: AIによって生成された、またはAIによって加工された臨床画像、イラスト、動画、音声は禁止されています。唯一の例外は、AIツールそのものが正式な研究デザインの明確な対象となっている場合です(例:AIによるX線画像読影システムを検証する研究)。
図に対して認められる調整
画像全体の明るさやコントラストを変更するといった、標準的で画像全体に一律に適用されるデジタル調整や、臨床的に意味を持たない背景を単色に置き換えることは認められています。著者は、使用したソフトウェアを図の説明文に記載し、審査のために編集前の元ファイルを提出しなければなりません。
独自の研究データをAIで可視化した図表(チャートやグラフなど)は、図の説明文にソフトウェアの名称とバージョンが明記されていれば認められます。

これらのガイドラインが研究者であるあなたにとって重要な理由
JAMAによる2026年版AIガイドラインは、守られるべき批判的思考、創造性、執筆の基本的な側面を強化すると同時に、科学の誠実さを危うくする行為を抑止することを目的としています。これらのガイドラインはJAMAネットワークのジャーナルだけでなく、原稿を投稿したいあらゆるジャーナルに投稿する際のガイドとして活用すべきです。
あなたは次のように考えたことはありませんか。これで、何をすべきか(あるいはすべきでないか)がわかるはずです。
「時間がない。参考文献はChatGPTに聞いてしまおう!」
LLMには事実をハルシネーション(幻覚)として生み出したり、引用を捏造したりする傾向がありますが、多くの研究者はそのことに気づいていません。研究者はLLMが生成した結果をそのまま信用してしまい、AIの出力を批判的に検証しないのです。偽の参考文献は科学の記録を汚染し、研究者の信頼性を損なうことを忘れないでください。代わりに、信頼できる文献管理ツールや文献検索ツールを使い、すべての引用を検証すべきです。
「もっと多くの論文を、もっと速く投稿しなければ。いくつかのセクションはAIに書かせよう!」
AIの支援による執筆の手軽さは、査読システムを圧迫し、出版される文献全体の質を低下させるおそれがあります。arXivに掲載された最近のプレプリント⁶は、2025年12月末までに、PubMed Centralの全文が公開されている生物医学論文の89~90%にLLMの支援による執筆の兆候が見られたと推定しています。憂慮すべきことに、AIの使用はDiscussion(考察)とAbstract(抄録)で最も多い(約67%)ことがわかりました。まさに解釈と論点の枠組みづくりが行われる箇所です。あなたを研究者たらしめているもの(批判的思考)をツールに委ねてしまうと、あなたの批判的なスキルが衰え、あなたもまた「AIスロップ」(AIが量産する低品質なコンテンツ)を生み出す1人になりかねません。ツールにまとまった量の文章を生成させたいという衝動は抑えましょう。
「執筆や翻訳、データの可視化にAIの助けを借りた。」
必要な詳細(ツール名、バージョン、開発元、AIツールが何を行ったかの説明)を開示し、出力を検証している限り、問題ありません。
「AIを使ったことを開示したら、編集者や査読者に悪く判断される!」
著者は、AIの使用を開示すると、偏った不利な編集上の判断につながるのではないかと恐れています。しかし著者は、編集者がAIの実際の使用状況と開示内容との間に隔たりがあること、つまり、編集者は今や開示されていないAI使用に積極的に目を光らせていることを理解すべきです。開示しなかったことが発覚するほうが、最初から開示するよりも、あなたの評判にとってはるかに悪いのです。
「開示が必要なことはわかった。でも、具体的に何を開示すればいいの?」
出版社がポリシーを改訂している今、何を開示すべきかを知っておくことは、オーサーシップの基準を知っておくことと同じくらい基本的なことになっています。JAMA以外のジャーナルで論文を発表する場合でも、JAMAによる2026年の改訂は、まさにこうした点について知識を得るための良い出発点です。使用したツールの名称を、バージョンおよび開発元とともに申告し、さらにAIツールが何を行ったかを詳しく説明すべきです。
「査読者としての労力に報酬は出ない。ChatGPTにやらせよう!」
機密保持は、本人が気づかないうちに違反してしまいやすい点です。LLMに「この原稿を要約して」や「この原稿にフィードバックをして」と頼むだけでも、未発表原稿が外部に漏えいしたり、公開されたりするリスクがあるため、重大な規定違反となります。
おわりに
2022年には生成AIをめぐって不安があったにもかかわらず、研究者としてこうしたツールを使うべきかどうかという問題はもはや過去のものとなりました。JAMAの改訂ガイドラインは、検証が不可能な領域(参考文献、画像、未発表原稿の機密性)に線を引く一方で、責任の所在を人間に明確に帰属させられる領域では、AIの使用に一定の選択肢を残しています。次の改訂まで、楽しく執筆し、論文を発表していきましょう!
参考文献
- Ganjavi C et al. Publishers’ and journals’ instructions to authors on use of generative artificial intelligence in academic and scientific publishing: bibliometric analysis. BMJ 2024;384:e077192
- Flanagin A et al. Updated guidance for author use of AI in medical publication. JAMA Published online August 10, 2026. doi:10.1001/jama.2026.16613
- Flanagin A et al. Nonhuman “authors” and implications for the integrity of scientific publication and medical knowledge. JAMA. 2023;329(8):637–639. doi:10.1001/jama.2023.1344
- Flanagin A et al. Guidance for authors, peer reviewers, and editors on use of AI, language models, and chatbots. JAMA. 2023;330(8):702–703. doi:10.1001/jama.2023.12500
- Flanagin A et al. Reporting use of AI in research and scholarly publication—JAMA Network Guidance. JAMA. 2024;331(13):1096–1098. doi:10.1001/jama.2024.3471
- Holzwarth L et al. Most biomedical publications show signs of LLM-assisted writing. https://arxiv.org/abs/2608.10715

