資金調達の制約を克服し、研究を成功させるための戦略

Strategies for overcoming funding constraints and thriving in research

研究者は貴重な時間を費やして助成金の申請書を作成しますが、その申請がすべて承認されるわけではありません。特に、岐路に立たされている研究者や、キャリアの変化や移動(研究への復帰、都市や国、研究室の変更)を経験した研究者は、研究助成金を確保することが特に困難になる可能性があります。

世界的に憂慮すべき傾向として、ブラジルから南アフリカ、アメリカに至るまで、多くの国が研究資金に影響を及ぼす予算削減を導入しています。政治家や政策立案者が政府支出をめぐって争っている間も、研究者としての仕事は続けなければなりません。しかし、予算削減に伴って資金提供の機会も減少し、この分野での競争はますます激しくなっています。

このような制約によって研究は制限されるべきなのでしょうか? 答えは「NO」です! この記事では、資金を確保するためのハードルを克服するさまざまな方法と、あなたやあなたの研究室の機知を高めるための少し変わった方法を紹介します。

資金調達の可能性を高める

1. 助成金申請書の作成スキルを磨く 

研究助成金の申請書は、詳細かつ技術的で複雑なため、準備に時間がかかります。オーストラリア国立保健医学研究評議会に申請書を提出したオーストラリア人研究者を対象とした調査によると、申請書の作成または再提出には、1件あたり平均34日の時間を要していることが明らかになりました。しかも成功率はわずか21%でした。

この厳しい競争に立ち向かい、成功を収めるためには、質の高い助成金申請書の書き方を学ぶことに時間を費やす必要があります。そのためには、この道のりを指導してくれるメンターを見つけることを検討しましょう。同僚や教員と話し合って、資金を獲得するために彼らがどのような工夫をしているのかを調べてください。さらに、助成金申請書作成のワークショップやトレー ニングに参加するのも効果的です。講座ハンドブックなど、いくつかのリソースはオンラインでも入手できます。

2. ステークホルダーと関わる

政策立案者、業界パートナー、地域団体などのステークホルダー(利害関係者)と関わることで、あなたの研究の関連性と潜在的な影響力を示すことができ、追加資金や支援を呼び込むことができる可能性があります。

3. 確固たる評判を築く

成功した研究プロジェクトや出版物の実績は、資金を申請する際の信頼性を高めます。強力な研究ポートフォリオを構築することに注力し、長期的に資金提供者や協力者からの資金提供の成功率を高めましょう。

それに加えて、資金提供の適格性に影響する可能性のある研究上の制限についても対処する必要があります。いくつかのヒントは以下の通りです。

  • バイアス(偏り)を避けるために、信頼性の高いサンプリング方法を使用します。また、他の要因が結果に影響を与えないように、交絡変数(結果に影響を与える可能性のある変数)をコントロールします。
  • 研究に参加する人々から必要な承認や同意を得ることが重要です。倫理的な観点からも、参加者の権利を尊重する必要があります。
  • 提案書や研究内容が他の著作物から盗用されていないことを確認します。オリジナリティが求められるため、他の研究者のアイデアや言葉を適切に引用することが大切です。

従来からの資金調達機関以外にも目を向ける

単一の資金源に頼るのは危険です。研究への関心、専門性、成功の可能性に基づいて、どの助成金の機会を追求するかを慎重に選択します。

自分の専門分野の従来の資金提供機関から資金を確保できない場合は、別の資金提供モデルを模索する必要があるかもしれません。たとえ少額の助成金でも、多様な資金源から獲得しましょう。

1. クラウドファンディングを検討する

「クラウドファンディング」と聞くと、研究者ではなく起業家を思い浮かべるかもしれません。しかし、そのイメージは変わりつつあります。KickstarterやCrowdfunderのようなクラウドファンディング・プラットフォームは、長い間、科学者が研究ではなく製品を立ち上げることを可能にしてきました。しかし、ExperimentConsanoのような他のクラウドファンディング・プラットフォームは、特に若手研究者の研究プロジェクトに資金を提供しています。

潜在的な寄付者を探すためのヒントは以下の通りです。

  • ソーシャルメディアでプロジェクトを紹介し、宣伝します。
  • 専門用語を使わず、簡単な言葉でプロジェクトを説明します。
  • 現実的で妥当な予算を確保します。

2. 研究機関の支援を求める

多くの大学や研究機関は、教員や学生の研究を支援するために、内部資金を提供する機会を設けています。あなたの所属する大学や研究機関で、このような支援を受けられるか調べてみましょう。

3. 他の資金源を探す

特定のプロジェクトのために、企業スポンサーや業界パートナーシップを探すこともできます。研究内容に合致する政府助成金、民間財団、慈善活動などを探すことで、貴重な手がかりが得られるかもしれませ ん。

4. 他の研究者と協力する

共同研究により、研究者はリソース、専門知識、資金をプールすることができます。他の機関や他分野の同僚と提携することで、新たな資金源にアクセスし、研究の影響力を高めることができます。

資金の制約を乗り越える他の方法

1. 既存のリソースを最大限に活用する

現在、ノルウェーのオスロ大学で地質生物学者をしているHope Jahrenは、研究者としてのキャリアをスタートさせたばかりの頃、財政難に見舞われました。しかし、彼女はめげることなく、救世軍や余剰倉庫から物資を集めたり、古い材料を再利用したり、閉鎖間近の研究室から設備を譲り受けたりすることで、研究室の資源を最適化しました。彼女の慎重な管理は、研究室にとって財政的に厳しい時期に不可欠なものでした。

彼女のやり方に倣って、自分の研究機関で利用可能な機器や設備を活用し、他の研究グループとリソースを共有し、不必要な出費を最小限に抑えることで、既存のリソースを最大限に活用することができます。

2. 費用対効果の高い研究方法に焦点を当てる

さらに、オープンソースのソフトウェアを使ったり、オンラインで調査や実験を行ったり、低コストの環境で研究者と共同研究を行うなど、費用対効果の高い研究方法を模索することもできます。

最近、インドが他の宇宙ミッションの何分の一かの予算で月面着陸に成功したことはご存知かもしれません。実際、インド宇宙研究機関(ISRO)は、プロジェクトにおける低コストのアプローチで有名です。ISROのミッションにかかる費用を大ヒット映画の製作費と比較するのはさておき、私たちはそこから何を学ぶことができるでしょうか?

ISROのスタッフは予算重視の考え方をすることで知られています(研究者たちが衛星やロケットの部品を牛車、後には自転車で発射場まで運んでいたことをご存知でしょうか)。彼らはシステムを簡素化し、アウトプットを最大化し、無駄を省くことに重点を置くことで知られています。とはいえ、彼らはリスクを嫌うわけではありません。計算されたリスクは自由に取ることができます。

さらに、外部からのインプットや輸入品への過度な依存を避けることで、あなたとあなたの研究室はより自立することができます。ローカルで考え、即興で対応することを学びましょう。

3. 収益源を多様化する

研究者は、知的財産のライセンス供与、コンサルティング、トレーニングや教育サービスの提供など、研究成果から収益を得る機会を模索できます。

まとめ

助成金の申請が何度も却下されると、落ち込んでしまうかもしれません。しかし、あきらめず、自分を信じ、忍耐力を持ちましょう。上記で紹介したアプローチやヒントは、研究者たちが長い間使ってきたもので、皆さんにもきっと役立つはずです。さらに追加のヒントとしては、十分な資金が得られるまでは、研究プロジェクトの規模を縮小したり、いくつかの重要なプロジェクトに絞ったりすること、また、助成金申請の牽引力を失わないよう、教育など他の責務から離れる時間を取ることなども挙げられます。

「Where there is a will, there is a way(意志あるところに道は開ける)」という格言があります。研究資金がなくても、やり抜く意志があれば、経済的な制約に直面しても乗り越えられるさまざまな方法があることがわかったのではないでしょうか。


この記事はEditage Insights 英語版に掲載されていた記事の翻訳です。Editage Insights ではこの他にも学術研究と学術出版に関する膨大な無料リソースを提供していますのでこちらもぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

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