Kidney Internationalのガイドラインに合わせたグラフィカルアブストラクト作成するための実践ガイド!

あなたの論文の要約を視覚的な形式で表すグラフィカルアブストラクトは研究の核心的なメッセージを広く読者に素早く効果的に伝えるために使われる、研究の最も重要な側面の「スナップショット」です。通常は学術論文に付随し、研究の主な発見、重要性は何かと言った研究に関する主要な疑問に答えます。

この記事ではKidney Internationalのガイドラインを見ながら、グラフィカルアブストラクトを作成する方法をご紹介します。

Kidney Internationalのような学術誌がグラフィカルアブストラクトを活用する理由

アブストラクトは研究を要約するだけでなく、その論文が読者にとって関心のある内容かどうかを判断するのに役立ってきました。そしてグラフィカルアブストラクトはこの目的をより効果的に果たすことができ、論文を専門外の研究者からも注目してもらうことができます。その仕組みを見てみましょう。

仮にあなたの論文がKidney Internationalに掲載されたとしましょう。しかしこの雑誌はオープンアクセスの論文ではないため、論文をクリックして、次の情報しか見ることができません。

  • 論文タイトル
  • 著者リスト
  • 要約
  • グラフィカルアブストラクト
  • キーワード
  • 参考文献

つまり、読者に本文をダウンロードされ、引用してもらうためには、この6つの情報で研究の重要性を関連記事のセクションまでスクロールして別の選択肢に移ってしまう前に充分な主張をしなければなりません。

そのため、Kidney Internationalのような多くの学術誌は、読者が研究の主要メッセージを素早く理解できるように、グラフィカルアブストラクトの提出を推奨するようになってきました。また、グラフィカルアブストラクトがうまく提示されるよう、作成方法に関する具体的なガイドラインを設けています。

Kidney Internationalの著者向け情報ページにこう書かれています。

「グラフィカルアブストラクトは、オンライン出版形式に適した、簡潔なカラーの図解形式で論文の内容を要約するものです。読者が論文の主要メッセージがより確実に理解できるようにし、閲覧を促し、学際的な研究を推進するのに役立ちます。

Kidney Internationalのグラフィカルアブストラクトガイドラインを理解する

Kidney Internationalは、グラフィカルアブストラクト作成のためのさまざまなテンプレートが含まれるPowerPointファイルを提供しています。ガイドラインには次の点も指定されています。

– 著者は論文のFigure(図)とは別のオリジナルのグラフィックを提出すること

– グラフィカルアブストラクトは、テキストではなくカラーの画像を使って研究の発見を1ファイルにまとめたものを用意すること

画像サイズ:PowerPointを使う場合、ワイドスクリーン(16:9の比率)でスライドをサイズ調整し、高解像度(最低300dpi、できれば600dpi)の画像を使う。他のツールで作成する場合、最低高さ531×幅1328ピクセル、最低解像度300dpiの画像を提供する。より大きな画像の場合は高さ200×幅500ピクセルにする

フォント:Arialまたは Calibriフォントのみで、サイズは18ポイント以上

ファイル形式:推奨はPowerPoint、TIFF、またはEPS 

-アップロード用画像ファイル名を「Graphical Abstract」として保存する

– 画像ファイル内には「Graphical Abstract」という見出しは含めない

– Acceptされた論文タイトルをそのままタイトルとして使用する

– 著者の姓と出版年を下部に置く

– 主な結論またはキーポイントを「Conclusion」ボックスの中に置く

上記を踏まえ、次の2つについて考えてみましょう。

1. グラフィカルアブストラクトに含める情報を選ぶ

2. テンプレート/レイアウトを選ぶ

Kidney Internationalのテンプレートは複数ありますが、どれを使用するかは示したい情報の量と研究のどの点を強調したいかに基づいて選ぶべきです。グラフィカルアブストラクト内で論文の全詳細を示したくなるのは自然なことですがスペースは非常に限られており、かつわずかな時間で読者の注意を惹くことを重視する必要があります。そのため、論文の内容から、特に強調したい情報を選ぶ必要があります。

新規の手法を開発したのか、研究成果が同分野の他者にとって興味深いのか、異例のコホートを調査したのか。あなたの研究で新規、または注目に値するものは、グラフィカルアブストラクトの前面に出すべきです。それらが明確であれば、使うべきテンプレートを選ぶのは簡単です。

例1: 研究の発見した事柄に最も焦点を当てたい場合は次のKidney Internationalのテンプレートがお薦めです:

このテンプレートは結果がもっとも大きなスペースを占めているため、方法論よりも結果に読者の目を引きつけることができます。

例2: あなたの研究が特定の集団を対象としていた場合、そのコホートをグラフィカルアブストラクトに示すスペースがある次のテンプレートがお薦めです:

効果的なグラフィカルアブストラクトを作成する方法

Kidney International はまた次のように述べています。

  • 見易さのため、グラフィカルアブストラクトは始まりと終わりが明確であり、できれば「上から下」または「左から右」に読むようにすべきである。
  • 要素や画像を乱雑に配置するのは避ける。

ではこれは実際にどういう意味なのか、グラフィカルアブストラクトを作成する際に使えるデザインのコツとテクニックを踏まえて見ていきましょう。

グラフィカルアブストラクトの情報は論理的で順序立てたレイアウトにする必要がある。

➡ 読者の多くは左から右、上から下の順で情報を読みます。そのため、方法論セクションを結果セクションの右側や下に配置してはいけません。読者は最初に方法論、次に結果を読めるように配置すべきで、Kidney International のテンプレートもそのように設計されています。そのため全てのテンプレートで、結論セクションが右下に配置されています。

➡ 矢印やフローチャートを使って、読者がグラフィカルアブストラクトの読み方を簡単に理解できるようにしましょう。次の例を参考にしてください。

グラフィックアブストラクトでは控えめが効果的な場合がある

➡ 複雑なグラフよりも簡単なチャートを使用することが重要です。複雑なデータを含む場合でも、チャートを使えば図が読みやすくなります。また、多数のグラフを含める必要がある場合は、アイコンや図の数を減らしてグラフィックアブストラクトが雑然とした印象にならないようにしましょう。下の例では、著者が不必要な図を使用せず、読者がグラフだけに集中できるようにしています。しかし、その一方で左側の文章が多すぎるため、グラフィックアブストラクト全体が退屈で目を引かなくなっています。この場合、1〜2つのグラフだけを使い、方法と患者をアイコンで示した方が良かったかもしれません。

テキストは最小限に抑え、推奨のフォントを使用することが重要です。視覚的な要素とテキストが補完し合うようにしましょう。グラフィックアブストラクトのすべての単語に意味があるべきです。よけいな単語があれば削除して、スペースを確保しましょう。下の例ではテキストと図がうまく使われています。

➡ 図/アイコンが正確であることを確認する

AIイメージがさまざま生成されている今日、使用する画像が科学的に正確であることを確認することが重要です。そうでない場合、査読プロセスが長引く可能性があります。

➡ 使用する図が著作権フリーであることを確認する

➡ 余白が重要

図が多すぎたり、密集していたり、重なり合っていると、テキストが読みにくくなり、焦点が分散し、全体として読者を圧倒してしまいます。下の例のようになってしまいます。

グラフィカルアブストラクトが欠けていると出版プロセスが遅れる可能性があ

Kidney International 誌では、投稿時にグラフィカルアブストラクトの提出が必須となっています。ジャーナルのガイドラインには次のように明記されています。

「原稿は以下の11の見出しに従って構成され、かつ方法論は結果の前に記載されること:グラフィカルアブストラクト、タイトルページ、アブストラクト、翻訳的記述(基礎研究論文のみ)、序論、方法論、結果、考察、開示声明、参考文献、謝辞。

この要件を満たさない場合は、査読に回される前に技術的な改訂を行うため著者に返却される。

ジャーナルは改訂段階でグラフィカルアブストラクトの提出を求め、「正確性と質について編集審査の対象」となると述べています。したがって、改訂段階でグラフィカルアブストラクトが含まれていない、またはその質が十分でない場合、投稿および出版プロセスが遅れる可能性があります。初回投稿から論文が受理されるまでの平均期間は6か月です。きちんとしたグラフィカルアブストラクトを含めることで、Kidney Internationalへの掲載が滞りなく進むようにしましょう。

まと

2024年、AIが数分で数百の研究論文を要約できる時代に、研究者が自分の論文を本当に際立たせるにはどうすればよいか。これは学術誌と研究者の両方が答えを探している問題です。グラフィカルアブストラクトはその有効な答えであり、今後も定着していくでしょう。

最後に、今後グラフィカルアブストラクトの作成に取り掛かる際は、以下を覚えておいてください。

  1. まず、含めたい情報を選びます。それはあなたの研究の新規性や重要性を強調するべきです。そして、できるだけ少ない言葉にまとめます。
  2. 次に、制作に関する要件を理解し、割り当てられたスペースを把握するためジャーナルのガイドラインを確認します。
  3. 読者が容易くスムーズにグラフィカルアブストラクトを読めるよう、情報の流れをレイアウトします。
  4. 情報を表す著作権フリーの図やアイコンを探し、最後にテキストと図をテンプレートに挿入してグラフィカルアブストラクトを作成します。

グラフィカルアブストラクトの作成は大変な作業に思えるかもしれません。実際、良質のグラフィカルアブストラクトを作るには、かなりの時間と労力が必要になります。

エディテージのグラフィカルアブストラクト制作サービスでは、短期間で高品質かつ正確なグラフィカルアブストラクトを提供しています。以下にKidney International向けのサンプルをいくつか掲載していますので、ぜひサービスをご検討ください。

グラフィカルアブストラクト制作ページはこちらから

グラフィカルアブストラクト制作サービス

サンプル

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

エディテージはカクタス・コミュニケーションズが運営するサービスブランドです。学術論文校正・校閲、学術翻訳、論文投稿支援、テープ起こし・ナレーションといった全方位的な出版支援ソリューションを提供しています。