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2017年のエディテージ研究費は、昨年度のものから制度を一新し、基礎研究グラント、海外出張グラント、英文校正グラントの3種類の研究費枠を設けました。昨年、今年と科研費を逃してしまい、それでも研究を続けたい若手研究者の方に、基礎研究グラントでは研究の継続全体を、海外出張グラントでは国際学会出席のための海外渡航費を、英文校正グラントでは英語論文投稿のための英文校正費用をそれぞれ提供しています。
基礎研究グラント(年2回)
第1回 基礎研究グラント
以下2名の研究者の方に、基礎研究グラント(50万円)が贈呈されます。
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土肥 聡(どひ・さとし)さん
(昭和大学横浜市北部病院 産婦人科 助教)
分野
周産期医療、胎児診断、出生前診断、臨床遺伝
テーマ
CPP(冠動脈圧)及びrSO2(局所脳酸素飽和度)を用いた妊婦蘇生法における至適体位の検討
―審査員より-
妊娠中のお母さんが突然心肺停止になってしまったら…? そんな一刻を争う救急の現場で、より効果的な妊婦さんへの心肺蘇生方法を模索されています。
お腹の大きな妊婦さんを仰向けに寝かせると、下半身から心臓へ血液を戻す静脈が子宮で圧迫されるため、そのまま心臓マッサージをしても回復に繋がらないことがあると言います。ではどうすれば救命率が上がるのか…? 土肥さんのグループは心肺蘇生訓練に使われる医療用マネキンや、ブタを使ったオリジナルの妊婦モデルで妊婦さんにより適した心臓マッサージの体位を検討されています。
ご研究自体のインパクトの大きさに加え、産科と蘇生学の境界領域でエディターの理解がなかなか得にくい分野であること、最適な体位を検証し、アメリカ心臓協会の妊婦蘇生のガイドラインを書き換えたいという大きな目標も審査員の共感を集めました。
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中山 達哉(なかやま・たつや)さん
(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部 主任研究員)
分野
微生物学
テーマ
食事摂取に起因するヒト薬剤耐性遺伝子保有に関する解析
-審査員より-
抗生物質などの抗菌薬に対して高い抵抗性を持つ細菌「薬剤耐性菌」に注目されています。
グローバル化の進んだ現在、海外に渡航して現地で蔓延中の細菌に感染し、自分でも気がつかないまま日本まで持ち帰ってしまうことは珍しくなくなっています。中山さんのグループがベトナムへの渡航者を対象に行った先行研究では、帰国者の約9割が、現地に多いある特定の大腸菌を持ち帰ってきたという結果も出ています(病原性の菌ではないため、保菌していても体に問題はないそうです)。
これらの菌株を分析して、抗菌薬への耐性を獲得させる遺伝子を持つものがいないかどうか確かめたいという中山さん。海外に渡航する誰もが耐性菌を運ぶ立場になりかねないその身近さと、先行プロジェクトの終了により分析できないままになっている菌株を活かしたいという堅実な研究計画も採択の決め手になりました。
第1回 基礎研究グラント奨励賞
以下3名の研究者の方に、基礎研究グラント奨励賞(10万円)が贈呈されます。
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黒岩 美幸(くろいわ・みゆき)さん
(東京医科大学 医学部看護学科 助教)
分野
ウィメンズヘルス、母性、女性、子ども
テーマ
子どもの体格指標の開発および母親の幼少期環境が子どもの身体的発育へ及ぼす影響
-審査員より-
生まれたばかりの赤ちゃんから学童期を直前に控えた5歳児までの成長を評価する「体格」指標づくりに取り組まれています。
現在の日本では身長・体重・胸囲・頭囲の4つの指標について別々に評価が行われますが、身長は伸びているのに体重はなかなか増えて来ない…など、各指標ごとに伸び方にばらつきがあり、わが子の成長ぶりは本当に標準的なのか、判断に迷われるお父さんお母さんも少なくないと言います。黒岩さんのグループは身長・体重・胸囲・頭囲の4つの測定値を総合的に捉える「体格」指標によって、より的確で合理的な成長評価を目指されています。
ご自身も小さなお子さんを抱えたお母さんとして、助産師さんとして、子どもの成長を心配するご両親を安心させたい。優しいまなざしがとても印象的でした。
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善方 文太郎(ぜんぽう・ぶんたろう)さん
(大阪医科大学 医学部生命科学講座生理学教室 助教)
分野
神経生理学
テーマ
速筋・遅筋特異的アセチルコリン受容体の機能解析
-審査員より-
筋肉が運動神経から指令を受ける、神経伝達物質の受容体に注目されています。
運動をつかさどる筋肉には、速い運動が得意で疲れやすい「速筋」と、ゆっくりした持続的な運動が得意で疲れにくい「遅筋」があります。体を動かそうとするとき、脳からの指示はまず運動神経に伝わります。脳の指令を受けた運動神経は筋肉と接合している部分から伝達物質「アセチルコリン」を放出し、その物質が筋肉の持つ受容体に結合することで筋肉が収縮、運動が起こります。
善方さんはこれまでに、速筋と遅筋でアセチルコリン受容体の構造が異なっていることを発見され、現在はその構造の違いが持つ意味の解明を目指されています。遺伝子操作と実際の動物の運動観察というミクロとマクロの実験を両立させた研究手法が面白く、高校生などへのアウトリーチに注力されていることにも感銘を受けました。
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佃 麻美(つくだ・あさみ)さん
(京都大学大学院 人間・環境学研究科 博士後期課程)
分野
文化人類学
テーマ
アンデスにおける人間=動物関係からみた現代的牧畜の生活様式の解明
-審査員より-
南米、ペルーのアンデス高地で牧畜生活を営む人たちの生活様式に注目されています。
アンデスの人々は標高4800メートルの高地でアルパカやヒツジなどの家畜を放牧し、毛や肉、時には家畜自体を売って生計を立てています。佃さんは現地のアルパカ飼いの方の放牧に同行し、人と動物がどんな関係を築いてきたか、各動物が社会的・経済的・文化的にどのような意味を持つのかを明らかにしようとされています。
若い世代では放牧地での家畜の世話をほとんどしていない人もいるなど、近代化しつつあるアンデス牧畜が今後どうなっていくのか、それに伴って人と動物の関係がどう変わるのかを見ることは、現代の産業社会を生きる我々にも動物との付き合い方を見直す契機を与えてくれるように思えます。お一人で現地社会に飛び込み、調査を続けて来られたバイタリティも評価のポイントになりました。
第2回 基礎研究グラント
以下2名の研究者の方に、基礎研究グラント(50万円)が贈呈されます。
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大山 智也(おおやま・ともや)さん
(筑波大学 システム情報工学研究科 社会工学専攻 博士後期課程)
分野
犯罪学、空間情報科学(地理情報システム)
テーマ
特殊詐欺を対象とした地理的犯罪予測手法の開発に関する研究
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佐々木 裕(ささき・ゆたか)さん
(岩手医科大学 医学部微生物学講座 感染症学・免疫学分野 助教)
分野
ウイルス学
テーマ
細菌性肺炎を誘導するウイルス感染症の解析:C型インフルエンザウイルスの病原性解明に向けた感染マウスモデルの作製
第2回 基礎研究グラント奨励賞
以下3名の研究者の方に、基礎研究グラント奨励賞(10万円)が贈呈されます。
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伊東 潤二(いとう・じゅんじ)さん
(京都大学 大学院 医学研究科 特定助教)
分野
癌の分子生物学
テーマ
新規のマウス乳癌発癌モデルによる乳癌の発生・進行メカニズムの解明
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笠井 高人(かさい・たかと)さん
(同志社大学 経済学部 助教)
分野
経済学史
テーマ
20世紀イギリス労働者教育とカール・ポランニー
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西原 正和(にしはら・まさかず)さん
(奈良県薬事研究センター 検査・精度管理係 主任研究員)
分野
生薬学
テーマ
生薬における指標成分による品質評価法の確立
海外出張グラント(年2回)
第1回 海外出張グラント
以下2名の研究者の方に、海外出張グラント(20万円)が贈呈されます。
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Gentiane Venture(ジェンチャン・ベンチャー)さん
(東京農工大学 機械システム工学科 准教授)
分野
ロボティクス
テーマ
Speaking about Robots: My Trilingual Daily Challenge
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中島 健太郎(なかしま・けんたろう)さん
(九州大学病院 小児科 大学院生)
分野
小児がん
テーマ
ダウン症候群に発症した急性骨髄性白血病の臨床研究非登録例についての後方視的観察研究
第2回 海外出張グラント
以下2名の研究者の方に、海外出張グラント(20万円)が贈呈されます。
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大平 雅子(おおひら・まさこ)さん
(滋賀大学 教育学部 准教授)
分野
応用健康科学
テーマ
幼児における起床時のホルモン分泌を用いた睡眠評価手法の開発
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岡部 圭介(おかべ・けいすけ)さん
(富山大学附属病院 第一内科 医員)
分野
代謝・内分泌内科
テーマ
エピジェネティックな機序を介したNAD代謝による脂肪細胞分化制御機構の解明
英文校正グラント(月1回)
以下の研究者の方に、エディテージの論文校正サービス 5万円分が贈呈されました。
2018年3月
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田川 要さん
筑波大学 人間総合科学研究科 博士課程
分野
運動生理学
研究テーマ
握力と大動脈スティフネスの関連性
採択者メッセージ
この度は英文校正グラントに採択いただき感謝申し上げます。現在、私は大学院生としてデータ収集、論文の執筆をおこなっています。研究テーマはレジスタンストレーニングが動脈伸展性に及ぼす影響についてです。レジスタンストレーニングは、様々な健康因子を改善させます。一方、高強度レジスタンストレーニングは、動脈伸展性を低下させることが知られています。私は、そのメカニズムに関して研究を進めています。私の長期的な目標は、レジスタンストレーニングのメリット・デメリットをエビデンスベースで明らかにし、運動療法プログラム立案に貢献することです。
最近は論文執筆に力を入れているため、今回採用いただけたことは非常にうれしく思います。これを機会に科学の発展に寄与する研究を進めていけるように精進してまいります。
2018年2月
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永谷 温幸さん
関西福祉大学 看護学部 助教
分野
成人・高齢者看護、国際看護
研究テーマ
地方都市の在宅で暮らす高齢者と看護職者間に関する研究
採択者メッセージ
この度は英文校正グラントに採択いただき誠にありがとうございました。
これまでの臨床における実務経験を通し今後の医療・看護・福祉のあり方について意識を向けるようになりました。様々な問題が提起される中、これまでの日本の地域包括ケアに関する研究をもとに専門職者の確保も大切になることがわかりました。しかし、看護職者の離職率が高いことはよく知られており、時代のニーズに応じて離職要因も変わることが予測されます。そのため離職要因を改めて分析する必要性を感じました。国内のみならず先進国でも同じような現状が想定されるため今回は海外誌への投稿を視野に入れて研究に取り組みたいと思います。
安藤 絵美子さん
大阪大学大学院 医学系研究科 社会医学講座 特任助教
分野
疫学・公衆衛生
研究テーマ
イヌの飼育は、認知機能低下を予防するか?:日本人高齢者を対象とした大規模縦断研究
2018年1月
松田 孟士さん
浜松医科大学 光尖端医学教育研究センター
フォトニクス医学研究部 光イメージング研究室 特任研究員
分野
神経科学
研究テーマ
新規誘導体化試薬を用いた脳組織内神経伝達物質可視化手法の確立
採択者メッセージ
神経伝達物質はヒトの脳機能において極めて重要な役割を果たしており、それらの障害が重篤な神経疾患の発症・進行に寄与すると考えられています。しかし、それら神経伝達物質は脳内において微量であり、これまで生体組織内において分布と存在量を同時にイメージングすることは技術的に非常に困難でした。近年、質量分析とイメージング技術を組み合わせた質量分析イメージング技術が急速に発展しており、脳組織における神経伝達物質の可視化が可能になりつつあります。本研究で、私はそれらの質量分析イメージングに新規誘導体化試薬を適用し、より簡便な脳内神経伝達物質の可視化手法の確立に取り組んでいます。それらの実験技術を駆使して、神経疾患の発症機序の解明に貢献することが目標です。
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松本 一記さん
大阪大学大学院
連合小児発達学研究科(千葉校) 特任研究員
分野
不安症、強迫症、認知行動療法、遠隔医療
夢
ICTを利活用し様々なメディアで精神科医療を世界中に提供する
研究テーマ
強迫症および不安症への遠隔認知行動療法の実用可能性の検討
採択者メッセージ
採択していただき本当に嬉しいです。
私の研究は、精神疾患の患者さんを非薬物療法で治療する研究をしています。また近年では、医師偏在、医療資源の都市集中、などから地方と都市の医療格差が生まれています。これを改善すべく博士論文の研究課題では、「テレビ電話を使った強迫症・不安症への遠隔認知行動療法」の臨床試験を実施しています。
今回いただいたグラントは、この博士論文で大切に使わせていただく所存です。
若手研究者にとって、御社が提供されるグラントは大変貴重です。
今後も、医学の発展と人類の健康に尽くすべく、研究に励んで行きます。
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時野谷 勝幸さん
筑波大学大学院 人間総合科学研究科
スポーツ医学専攻 博士後期課程
分野
神経科学
研究テーマ
運動生理・生化学
採択者メッセージ
この度は英文校正グラントに採択頂き、感謝申し上げます。
研究テーマは、簡単にまとめると「運動がレナラーゼに及ぼす影響」です。レナラーゼとは血圧制御や細胞保護作用、近年ではガン治療に対する効果も報告されている分子(酵素)です。生活習慣病にも関わる分子ですので、運動でのメカニズムや生理的意義を明らかにし、治療としてのマーカーや創薬として未来に繋げていけると良いなと考えています。
スポーツ医学に関わる人間として、自身の健康に気を配り、運動を継続しながら研究しています。今回のグラント採択も1つの勢いにして、博士号取得を目指して今後とも頑張ります。
2017年12月
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奥川 喜永さん
三重大学大学院医学系研究科 消化管・小児外科学講座 医学看護学教育センター 助教/癌免疫栄養療法センター センター長
分野
消化管腫瘍学、バイオマーカー
研究テーマ
Lymphocyte-C-reactive protein Ratio as a new clinically feasible marker in gastric cancer patients
採択者メッセージ
この度は、平成29年12月Editage英文校正グラントに採択いただき、誠にありがとうございました。
私はこれまで、消化器癌、とりわけ胃癌、大腸癌を代表とする消化管悪性腫瘍に苦しむ患者様の外科治療ならびに全身化学療法・栄養支持・症状緩和を含めたトータルケアに従事してまいりました。そしてその臨床経験を通して培われた、消化器がんの予後向上に貢献したいという思いから、サイトカインのシグナル伝達からエピゲノム領域まで、発癌早期から遠隔転移にいたるメカニズム解析とその診断/予後マーカーの開発に興味を持ち、基礎的、並びに臨床研究に従事しております。今後も、すこしでも悪性腫瘍患者様に還元できるようなTranslational researchを進めてまいりたいと考えております。
2017年11月
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菅野 康太さん
鹿児島大学 法文学部
人文学科心理学コース 講師
分野
行動神経科学、行動神経内分泌学
研究テーマ
マウス音声コミュニケーションの生物学的意義
採択者メッセージ
マウスの音声コミュニケーションと神経メカニズムの研究をしています。1年ほど前に鹿児島大学に移り、心理学を学ぶ学生に脳のことを教えています。ここ数年の研究結果を論文にまとめているところですが、実験室の立ち上げや実習の準備、最新のマウス超音波発声の録音系を揃えたところで、研究費がなくなり、論文reviseの英文校正代も払えない状況だったので、今回の採択は本当に救われました!(自腹を覚悟していました)。論文がないと次の研究費もままならないですし…
これから1期生の卒論研究も本格的に始まるので、新しい研究にも取り組んでいきたいと思っているところです。
長澤 昇平さん
首都大学東京 社会科学研究科
博士後期課程
分野
会計管理学
2017年10月
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濱崎 愛さん
筑波大学大学院 人間総合科学研究科
スポーツ医学専攻 前田研究室
分野
予防医学 運動
研究テーマ
中高齢者の認知機能と血管機能および骨代謝指標との関連性の検討
採択者メッセージ
この度は英文校正グラントに採択いただき感謝申し上げます。現在、私は大学院生として日々研究とデータ収集、論文の執筆を行っています。私の研究は主にヒトの認知機能に着目して、血管機能および脳の酸素化動態に関する研究を行っております。現在行っている研究では、中高齢者を対象に、運動という万人が日常生活に取り入れやすい方法により、心身機能の維持・向上、さらには疾病予防のみならず認知機能の向上に寄与できることを目指しています。
将来の展望として、加齢に伴い低下する様々な心身機能や認知機能を、運動トレーニングによって、緩やかな低下もしくは維持、向上を体感し、喜びを共感できる中高齢者の生活を支援・貢献できる伴走者を目指していきたいと思います。
2017年9月
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田中康弘さん
北見工業大学工学部
雪氷系・氷海環境研究室 特任研究員
分野
リモートセンシング工学,極域雪氷学,海氷
研究テーマ
地球観測衛星を利用した夏季北極海における海氷表面融解の監視手法の確立
採択者メッセージ
この度は英文校正費を支援して頂き感謝申し上げます。
夏の北極海氷上では雪や氷が融け、水溜り(融解池、メルトポンド)で水浸しであることはご存知でしょうか? 海氷は、海での太陽光エネルギーの吸収を減らす反射板として地球気候システムの安定化に寄与しています。しかし、水溜りの拡大は反射板の能力を低下させ、海氷融解の拡大を引き起こすため、海氷面積の減少を加速させることが懸念されています。
近年、衛星観測を利用した海氷面積やその厚さは盛んに観測されていますが、水溜りを毎日・長期的にモニタリングする手法は世界的にも実現していません。本論文では、長年必要とされていた信頼性の高い水溜りの情報を世界に先駆けて発信することです。今後は、水溜りの拡大が海氷面積の変動に与える影響を調べ、海氷分布の将来予測による北極海航路の実利用に貢献していきたいと思います。
2017年8月
野村真未(のむら・まみ)さん
筑波大学 下田臨海実験センター
分野
原生生物学
2017年7月
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丸谷 康平(まるや・こうへい)さん
埼玉医科大学 保健医療学部理学療法学科、助教
分野
予防医学、老年医学、保健学
研究テーマ
運動によるMild Cognitive Impairmentのスクリーニングと予防
採択者メッセージ
この度は英文校正グラントに採択いただき感謝申し上げます。私のような若輩者の研究者にとってこのようなグラントは大変に有難いです。現在、私は認知症予防を観点に認知機能と運動機能の関連についての研究を行っています。一般的に認知機能を測ることは、時間がかかってしまったり、不良な結果を恐れ測定に抵抗を感じたりするなど、対象者に負担をかけ、困難を伴います。しかし歩幅を測定することで、簡単に認知機能の衰えをスクリーニングすることができる可能性があります。今後は、長期的な変化を追うとともに、運動機能の向上が認知機能の向上に与える影響も検討していければと考えています。地域の方々の頭も身体も元気にして、健康寿命の延伸に貢献できれるよう今後も邁進していきます。
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横田 理(よこた・さとし)さん
学校法人晴川学舎 奥羽大学 薬学部薬学科 助教
分野
環境衛生学・毒性学・分子細胞生物学
研究テーマ
環境ストレス曝露が多世代にわたり及ぼし得る健康影響とその予防策の確立
採択者メッセージ
この度は、エディテージ研究費、英文校正グラントの採択を賜り、大変嬉しく思っております。この場を借りて御礼申し上げます。研究者にとっては、研究計画立案から実験データの取得、まとめ、論文原稿の作成、レビュアーとのやりとり、新たな研究助成金申請のための申請書作成、その他、教育活動も多々あり、時間があっても全然足りません。そのような状況の中、私が書いた論文の内容について、単なる英文校閲だけではなく、科学的な視点から英文の論理校正についてまで的確にアドバイスを頂けるEditageの英文校正には毎回助けられています。
私の研究は、妊娠期環境としてのストレス(化学物質、食生活、精神的ストレスなど)曝露が子どもの神経細胞や生殖細胞に及ぼす影響について検討しており、これまでに、疾患発症増悪化機構の背景に胎児期環境ストレスが関わる事実を実験データから得ています。本研究の最終目標は、「次世代の健康は親が守る」という視点で、産まれる前からある程度、健康寿命などの運命が環境要因によって決定されていることを世の中に発信し、予防医学の発展に貢献する研究成果を出し続けたいと考えています。
2017年6月
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日室 千尋(ひむろ・ちひろ)さん
沖縄県庁農林水産部病害虫防除技術センター、琉球産経(株)所属 研究員
分野
昆虫生態学・応用昆虫学
研究テーマ
生物の繁殖をめぐる雌雄の対立
採択者メッセージ
性的対立という言葉をご存知ですか? 数十年前まで、生物は種の存続・繁栄のために雌雄は仲良く友好的な関係であると考えられてきました。しかし、近年の遺伝子レベル、個体レベルでの研究により、繁殖をめぐる雌雄の利害対立が明らかとなりました。実際に、ショウジョウバエやある種のカメムシなどはオスの精液の中に、メスの寿命を短くする物質が含まれていることが発見されました。また、あるゾウムシのオスの交尾器先端には極めて鋭いトゲがあり、メスの交尾器内部を傷つけてしまうことが発見されました。現在沖縄県では、サツマイモなどの害虫であるイモゾウムシ、アリモドキゾウムシの根絶事業が進められています。私は、これらの害虫の繁殖生態、性的対立の様相を明らかにすることで、より効率の良い害虫駆除方法の開発に励んでいます。