言語の使用傾向を追跡しているGlobal Language Monitorによると、英語には現在100万を超える異なる単語が使用されています1。これらの単語の多くは、見た目やスペルは似ていますが、意味が異なり、異なる文脈で使用されます。そのため、英語を母国語としない人だけでなく、英語を母国語とする人たちでさえ、時に間違った単語の選択をするのは不思議なことではありません。
研究成果を効果的に伝え、共有するためには、学術論文で正しく効率的に単語を使う方法を理解することが不可欠です。この記事では、アカデミックライティングで最もよく見られる単語の選択ミスについて説明し、それを避けるためのヒントを提供します。適切な単語の選び方と使い方のルールを学べば、科学論文の明瞭さと品質を短期間で向上させることができるでしょう。
1. 似た響きの言葉
アカデミックライティングで最もよくある間違いの1つは、意図した単語と発音は似ているが意味が異なる単語を使用することです。いくつかの単語は似たような音で、似たような意味を持っていますが、同じように使うことはできません。例えば、attainedとobtainedという単語がそうです。これは、その言語に慣れていない非ネイティブスピーカーにとっては非常に混乱する可能性があります。
下の例を見てください:
正しくない:The contestants attained the desired speed even under stressful conditions.
正しい:The contestants obtained the desired speed even under stressful conditions.
Attainは「到達する」「達成する」という意味です。Obtainが単に何かを手に入れる、所有することを意味するのに対して(例「he obtained the report from the laboratory archives」)、Attainは状態や段階について話すときに主に使用されます(例「the water attained the desired temperature」)。この2つの単語は響きが似ているためよく間違えられて使われますが、意図する意味を完全に変えてしまう可能性があります。
2. 文化的な発音の違いによるスペルミス
英語を母国語としない人たちが、深く根付いた文化的側面によってもたらされるスペルミスに苦労しているのをよく見かけます。例えば、アラビア語には「p」という音素がないため、「b」と「p」の混同に直面するケースがよくあります。
正しくない:The cold backs were stored in refrigeration units.
正しい:The cold packs were stored in refrigeration units.
単純なスペルチェックでは、通常のスペルミスは発見できるかもしれませんが、文化的影響による間違った単語(通常は正しいスペル)の使用は見落とされがちです。例えば、著者が 「park」の代わりに「bark」と言ったり、「back」の代わりに「pack」と言った場合でも、スペルチェックは問題を認識しません。アカデミックライティングによくあるこのようなミスを避ける唯一の方法は、校正の際に注意深く、細心の注意を払うことです。
3. 似ているが意味合いが異なる言葉
多くの人が犯しがちなもう1つの間違いは、音は似ていなくても意味が似ていたり重なったりする言葉を使うことです。例えば、「devised」と「developed」という単語は似ていますが、アカデミックライティングでは同じ意味で使うことはできません。
正しくない:We have devised a new method to germinate seeds.
正しい:We have developed a new method to germinate seeds.
「devise」と「develop」はどちらも新しいものを考え出すことを意味しますが、「devise」という単語を使うのは、何かを計画したり設計したりするために知性を使うことを意味します。一方で「develop」は一般に発明された製品やシステムに対して使用されたり、特定の方向に進歩したり変化したりすることを意味します。
4. 標準的でない、または存在しない語形の使用
ジャーナル編集者は、著者が語根に接頭辞や接尾辞を追加することにより、標準的でない、または存在しない動詞、名詞、形容詞を形成し、アカデミックライティングに間違いをもたらしている多くの例を発見しています。
正しくない:Changes in atmospheric pressure were determinated using weather balloons.
正しい:Changes in atmospheric pressure were determined using weather balloons.
語根に適切な接尾辞(例:-ify、-er、-al、-ate、-ly、-able、-ish、-ionなど)をつけることで、動詞、名詞、形容詞を形成することができます。ただし、恣意的に作られた場合はエラーとみなされます。上の例では、著者はdetermineという語根に接尾辞-atedを付けるという間違いを犯しました。時制や複数形も接尾辞の付加によって実現されることに注意してください。
5. 間違ったコロケーション
コロケーション(Collocation)とは、通常一緒に使われる単語の組み合わせのことで、英語の自然な言い回しとして進化してきました。例えば「fast train」や「quick stop」などです。このような単語の組み合わせは、常に使用しているネイティブスピーカーには「正しく」聞こえます。一方、英語を母国語としない人は、これらの単語を「quick train」や「fast stop」のように間違えて組み合わせてしまう可能性があります。
英語を母国語としない人にとっては、2番目の単語の組み合わせも文法的および論理的に正しように見えるかもしれませんが、これらの組み合わせは自然な使用パターンに反しているため奇妙に聞こえるのです。英語を母国語とする人にとってはコロケーションの使用は自然なことですが、英語を母国語としない人にとっては、コロケーションを正しく使うことが難しく、しばしば苦労することになります。
学術論文で正しい単語を選択するためのヒント
このようなよくある単語選択の間違いは、わかりにくく、習得するのが難しいように思えるかもしれません。学術論文でこうした問題を回避するための簡単なヒントをいくつか紹介します。
1. 文章の中で特定の単語の繰り返しを避けるためだけに、やみくもに同義語を使わないようにしましょう。意味が変わったり、奇妙な響きの文章が作成されたりする可能性があります。単語の選択をする際には、意味と文脈を明確に理解してください。
2. 不明な単語があれば、辞書を使って意味と使い方の両方を確認しましょう。Oxford Collocations Dictionary2は、英語で最もよく使われるコロケーションをリストアップしているだけでなく、その用法も説明しているので、コロケーションを再確認するのに最適なリソースです。
3. 正しい言葉の使い方を理解するために、指定されたスタイルマニュアルを常に参照してください。ほとんどのマニュアルには、混同されやすい英単語や専門用語をリストアップしたセクションがあります。
4. 時間をかけて慎重に論文の編集と校正を行ってください。単純なスペルチェックだけでは、単語選択におけるよくある間違いを見つけるのに十分ではない可能性があることに注意してください。PaperpalのようなスマートなAIライティングツールを使うこともできます。このツールを使用すると、研究論文を改善するための主題固有の提案をリアルタイムで提供して英語力を磨くことができます。
参考文献
- How Many Words Are There In The English Language? Dictionary.com. Available at https://www.dictionary.com/e/how-many-words-in-english/
- Online Collocation Dictionary. http://www.freecollocation.com/